かごの中の瞳

かごの中の瞳のレビュー・評価・感想

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かごの中の瞳
5

視力だけでなく自我も取り戻したジーナ

「かごの中の瞳」は、2017年にアメリカで製作された映画。「ゴシップガール」や、「アデライン、100年目の恋」などで有名なブレイク・ライヴリー主演のスリラー映画である。

おおまかなあらすじとしては、ブレイク・ライヴリーが演じるジーナはほとんど目が見えない。彼女を献身的にサポートする夫ジェームズと共に、2人はバンコクで仲良く暮らしている。ある時、視力が片目だけ回復するかもしれない手術を受けられることになり、2人は手術を決意。無事に手術は成功し、ジーナは片目だけ視力を取り戻す。
しかし、視力を取り戻したジーナは、今まで自分が暮らしてきた家やそこからの眺め、自分の服装、そして夫のジェームズにも違和感を抱き始める。
はじめは遠慮しているものの、だんだんと自我に目覚め始めるジーナと、その変わりぶりに戸惑うジェームズ。

映画はゆるやかなテンポで、画面も暗すぎず明るすぎず見やすく、物語にもすんなり溶け込める。セリフも最小限に抑えられ、落ち着いて見られる映画だ。
これといった見せ場がないが、物語はとてもわかりやすいので、ぼーっとしながら何も考えずに見たいときにおすすめしたい。
途中、バルセロナに暮らすジーナの姉を夫婦2人で訪ねるシーンがあるのだが、あのシーンがこの映画のなかでは1番活気づいていた場面だったように思う。

かごの中の瞳
8

まもってやってる感がなくなると自信がなくなる

ジェームスの気持ちはわからなくはないけど、ひどいなと思いました。妻が視力を回復して楽しくしている、そのことが不安にさせているだなんて。結局、自分の価値が彼女を支えていたところにしかないと思っていたのかもしれません。それは本当かどうかはわからないけど、そんな夫嫌です。確かに、人には自分より弱いものを守るときに感じる感情があって、ちょっと優位に立てるっていうか、そういうのはあると思います。それに、ジーナはすごくきれいだから、視力を取り戻せば、俺なんかから離れてしまうとか思っちゃうかもです。守ってやってる感がなるなると、自信がなくなるのでしょう。でも、それはジーナに失礼だし、そういう態度がまた、ジーナを遠ざける結果になってて、悪循環だなって思いました。彼はちょっとやりすぎです。最初、理想の夫って感じの人だったのに、こんなことになってしまい、すごく展開がおもしろかったです。目薬の件とか犬の件とか、家庭内に敵がいたなんて、そりゃあ、もうジーナは耐えられないですよね。オチは結構衝撃的で、別にそうしなくてもよかったのにって感じのオチでしたが、彼は彼女なしでは生きていけないのかもしれません。人ってこんなもんだろってすごく意地悪な見方の映画でしたが、それが当たってる感じがしました。すごく怖い話で、夫婦とは何かを考えさせられます。