ラ・ヨローナ~彷徨う女~ / La Llorona

ラ・ヨローナ~彷徨う女~ / La Lloronaのレビュー・評価・感想

ラ・ヨローナ~彷徨う女~ / La Llorona
7

社会派だった。

ラ・ヨローナって別の映画でも扱われていたし、結構有名な話なんだなと思いました。夫に捨てられ、子供を殺してしまったという幽霊、なんともひどい女の幽霊ですが、どこか悲壮感があって、ホラー映画にはうってつけの伝承だなと思います。しかも、本作はただ、その伝承の話ってだけじゃなくて、グアテマラでの大量殺戮の首謀者が…って話も関わってきて、すごく社会派の面を持ってました。
エンリケはものすごく不快な男に映ってました。まさに独裁、いやこんな裁判があっていいのかって感じです。だから、彼が酷い目にあっても何の罪悪感もないと思ってました。でも、幽霊のせいで酷い目にあうのは彼だとしても、彼の周りの面々が群衆に取り囲まれ、怖い思いをしている場面とかも映ってて、それがかわいそうで怖かったです。ただの勧善懲悪の話ではなく、加害者側の話も入ってて見応えあるなって感じでした。
エンリケに下に見られていた女たちも、ラ・ヨローナに触発されて変わっていくところがすばらしいです。彼女らが悪かったわけではないけど、エンリケを図に乗らせた原因もあったのかもしれません。そうだ、みんな戦わなきゃと思わせてくれる、そんな映画でした。マイナーな映画だけどおもしろかったです。