エリカ・バドゥ / Erykah Badu / エリカ・アビー・ライト / Erica Abi Wright

エリカ・バドゥ / Erykah Badu / エリカ・アビー・ライト / Erica Abi Wrightのレビュー・評価・感想

エリカ・バドゥ / Erykah Badu / エリカ・アビー・ライト / Erica Abi Wright
7

オーガニックな温かみと都会的な洗練

ドレッドにターバンを巻いたヘアスタイルで登場し、巷に溢れていたゴージャスでグラマラスなR&Bとは一線を画していたエリカ・バドゥ。
地に足の着いたオーガニックなサウンド、アーティスティックな趣向、唯一無二の個性を打ち出し、高い評価と人気を得ています。

特に97年のデビューアルバム『Baduizm』は、落ち着いたスピリットが流れている心地よい作品です。
古くからの南部ソウルを、ヒップホップのサンプリング文化で現代の都会風に洗練させたような趣きで、土臭い温かみとスマートな賢さが同居する最高傑作。
この頃の音楽産業界からの影響が少ない状態が、一番良かったように思います。

『Baduizm』はグラミー賞を受賞するなどして大絶賛を受けますが、デビュー作が内容、セールス共に成功したアーティストに限って、セカンドがチャレンジ精神旺盛になってしまうという例に漏れず、エリカ・バドゥもそっちの道に行ってしまいました。
とは言え、やはりネオソウルの女王と呼べるのはこの人しかいないことは確か。
アルバムを出すごとにオーガニック風味が薄れていくのは、どんどんアナログからデジタルに移行していった時代の流れもあって、仕方のないことなのかもしれません。

エリカ・バドゥらしさが最大限に味わえる初期の作品として、ライブアルバム『Erykah Badu: Live』もオススメ。
特に収録曲''Tyrone (Live)"はジーンと心に染みます。