チャカ・カーン / Chaka Khan

チャカ・カーン / Chaka Khanのレビュー・評価・感想

チャカ・カーン / Chaka Khan
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炎のように熱く情熱的なスーパーディーバ

言わずと知れた70年~80年代のR&B/ソウルを代表するディーバ(歌姫)です。
しかし、私がチャカ・カーンの歌に感銘を受け、興味を持つきっかけとなったのは、95年のスパイク・リー監督による映画『Clockers』のサウンドトラック盤に収録されている"Love Me Still"を聴いたときでした。
"The Way It Is"のヒットなどで有名なブルース・ホーンズビーとの共作で、ホーンズビー特有の複雑かつ美しいコード進行のピアノ伴奏に、チャカ・カーンの魂(ソウル)のこもったバラードが熱く響き、感動が胸に沁み渡りました。

往年のヒット曲に触れてみてもやはり思うのが、ものすごく熱い人だということです。
ステージネームのChaka(チャカ)というのは、炎とか赤とかを意味するらしいのですが、それには納得。
どの曲にも、歌唱の中に燃えるような愛が感じられるのです。
その激しさゆえに、喧嘩っ早い面もあったようですが、情熱のままに自分を表現できるところに憧れを感じます。

数ある名曲の中でも、最もドラマチックなのが84年リリースの"Through the Fire"。
出だしのシンセサイザーのシンプルなメロディーが鳴りだし、ドラムのビートがはじまるところから、もうすでに感極まってしまいます。
チャカ・カーンのよく伸びる声が、高らかに、炎を通り抜けてでも愛する情熱を歌い上げ、その強さに胸を打たれます。
熱いだけではなく、優しさや包容力もところどころに感じられ、ラブバラードとして素晴らしい作品に。
コーラスワークやエンディングの締めまで、粋なアレンジが施されたマジックのような曲です。

"Love Me Still"や、"Through the Fire"は、96年にリリースされたベスト盤『Epiphany: The Best of Chaka Khan, Vol. 1』に収録されています。
ほかの名曲もそろっていますので、こちらで堪能するのもオススメです。