東京難民

東京難民のレビュー・評価・感想

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東京難民
7

自分の身にも起こりそう

リアリティがあって、すごく怖い話でした。確かに主人公の大学生は考えが甘すぎてこうなった面は強いと思うけど、大学生なんて子どもと言えば子どもだし、なんとかなるって思っちゃうのもありえなくないかな、と思います。だから、そんな彼がどんどん墜ちていくのはちょっと気の毒でした。父親はなんで何も言わずに消えたのか。その時力になってくれる人はいなかったのか、と悲しくなります。彼が中学生とか高校生とかだったら、先生が相談に乗ってくれたのかもなとも思いました。家がなくなってからの生活は大変だったし、ホストにはホストのやり方があって、それがまた酷かったです。本当にこういうものなのか、それとも実際は違うのかわかりませんが、やっぱり売れるとでかいとしても、下の者が苦しむ仕事はしたくないなって感じました。東京らしい姿というか、夢やぶれた若者とか、貧困で苦しむ人がいる都会らしい地獄を見た気がして、すごく考えさせられた映画でした。

東京難民
8

多くの人に、現在起きている事

2014年の佐々部清監督、中村蒼主演の映画です。原作は福澤徹三の同名小説です。
思わぬ事をきっかけに普通の大学生が貧困に転落してしまう様を描いた映画です。
原作者の福澤氏が専門学校で教えていた際に、卒業後にフリーターや無職になる学生を多く見ていたことから原作を書いたとのことです。
主人公の修(中村蒼)は21歳の大学生ですが、いつの間にか学費滞納で除籍になっていることを知ります。
実家に戻ってみても借金の取り立ての男たちがいるだけで、家族は見当たりません。
東京でアルバイトをして食べていこうにも、家賃も払えなくなりネットカフェで寝泊まりすることになります。
ホストになっても上手く行かないので、黙って辞めて、建設会社に住み込みで働こうとしますが、ホストクラブのバックについていたヤクザに捕まり、中国の船に乗せられそうになります。
何とかそこは脱出できましたが、身分証を失くしたのでネットカフェに泊まることも無理になるという話です。
コロナ前に作られた映画ですが、その頃にも親の援助が無くなり学校に行けなくなる学生はかなりいたのでしょう。
日本は先進国の中ではGDPに対して政府の支出する教育関連予算が最低レベルとのことですが、その辺りから変えていかなくてはどうしようもない事なようです。