サムサッカー / Thumbsucker

サムサッカー / Thumbsuckerのレビュー・評価・感想

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サムサッカー / Thumbsucker
8

ラストに希望が持てる、センスを感じる注目作。

CMやミュージックビデオを手がけ、グラフィックデザイナーとして活躍するマイク・ミルズ監督。2005年に公開されたヒューマンドラマ『サムサッカー』は、監督の長編デビュー作です。監督にはクリエイターとしての実績があったため、公開前から期待値が高くなっていました。
『サムサッカー』の"サム"は親指、"サッカー"はしゃぶることを意味しています。主人公の少年ジャスティンは、高校生になっても親指をしゃぶる癖が抜けません。その問題を中心に、周囲の人を巻き込んでストーリーが展開していきます。
ジャスティンが通う歯科医院の先生は、ニューエイジっぽいことにハマっていて、なんだか不思議な空気感を醸し出しているのですが、演じたキアヌ・リーブスにピッタリの役どころです。つかみどころのない不安定なキャラクター、迷える現代の大人という感じが、よく出されていたと思います。そして、ジャスティンの母親役はティルダ・スウィントン。こういった配役にセンスを感じました。
印象的だったのが、ショッピングのシーン。服を買いに行って試着したりする場面があるのですが、その様子がなんだかすごくオシャレでした。高校生の母親ってこんなにオシャレなものなのだろうか。アメリカだからなのか。マイク・ミルズだからか。と、驚きを感じた場面です。
ジャスティンも、他の登場人物も、みんなそれぞれ不安を抱えながら生きていて、自分らしくないことをしてみたり、極端な行動をとってしまったりするのですが、その感じはすごくよく分かりました。ラストまで観たときに、心が軽くなり、希望が持てる作品です。