ソランジュ / Solange

ソランジュ / Solangeのレビュー・評価・感想

ソランジュ / Solange
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自然で洗練されたサウンド、正直な歌に感動

ソランジュの「Cranes in the Sky」を聴いたとき、感動して涙腺が熱くなるのを感じました。
音楽を聴いてそんな気持ちになることは、ずいぶん長い間なかったので、ソランジュに感謝したい想いです。
ソランジュはありきたりでないサウンドを好み、R&B/ソウルという枠組みの中で、実験的な音楽を作ってきた人です。
DIY精神を感じさせ、商業的な成功よりも、音楽表現において自分の望むものを追求することに重きを置いているように感じます。
2000年代に出した二枚のアルバムでは、まだそれほど完成度が高くありませんでした。
サウンドは荒削り。悪く言えば雑な印象です。
歌については、ただ音程をとって歌っているだけで、心が入っていないように感じます。
この頃はソングライティングに力を入れていて、歌うことにまで気が回らなかったのかもしれません。
しかし、2016年の『A Seat at the Table』で状況は覆されます。「Cranes in the Sky」が収録されているアルバムです。
このアルバムで、それまでのアンバランスで散漫としていたものがひとつにまとまり、美しい芸術へと昇華させられました。
自然で無理がなく、正直に発せられる言葉。洗練されたサウンド。そして、何よりソランジュの歌声が素晴らしく、囁くような美しいウィスパーボイスに、豊かな表現力がのせられています。
続く2019年の『When I Get Home』でも、同じようなスタイルが踏襲されています。このアルバムからは、各曲のミュージックビデオが繋げられた、40分程の映像が配信されています。前作でも、コンセプチュアルで美しい映像が制作されていますが、『When I Get Home』の映像も素晴らしく、見ごたえがあります。
YouTubeのソランジュのチャンネルで視聴できますので、是非チェックしてみてください。