風の電話

風の電話のレビュー・評価・感想

New Review
風の電話
7

実際に話せなくても

天国とつながる電話の話と聞いて、ファンタジーかと思いましたが、そういう願いとして建てられた電話ということでした。洋画でもそういう設定があったし、みんな亡くなった人と話したいことがあるのだろうなと思いました。子どもの頃、両親らを亡くし、またしても親戚を亡くしそうだなんて、主人公の女の子がかわいそすぎました。でも、それってフィクションじゃなく、家族をみんな亡くした人は実際にいるんですよね。すごくグッときました。彼女が自分の感情のまま叫ぶのも、もうなにもできずに倒れちゃうのも、そうなっちゃうよねと共感しました。
また、この映画はロードムービーといえる部分もあり、そこも気に入りました。実際には、そんなうまく行くとも思えないし、電車か何かで行ったほうが安全だろうとも思いますが、出会う人々によってちょっと前向きになっていく主人公がすてきでした。最初に出てきた主人公にご飯を食べさせてくれるおじさんが好きです。三浦友和さんはちょっと寂しげな顔なところが、自分も悲しみを抱えてて、だから人に優しくできる感じがあって好きです。話はできなくても、天国と繋がったと思うだけで人は変われるのかもなと神聖な気持ちになりました。涙が出てしまう、そんな映画ですが、見てよかったです。