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「家族」の枠にはめずに、見守って読んでみて欲しいのです。
親子のような、夫婦のような、家族のような、不思議な関係の四人の物語です。
事故で両親を亡くした兄弟を、突然預かることになった主人公。親戚でも何でもない、彼氏の従姉の子供という、何とも説明が難しい関係です。それでも「今まで自分の為に生きてきたから、こういう役割も楽しもう。」と、前向きにこの兄弟を受け入れます。だからと言って、この機会になし崩しに一緒になろうと考えている彼氏の思惑には乗りたくない主人公は、同居は認めても結婚はしません。かくして、この不思議な関係の生活が始まります。
一般的な家族ではないのでしょうが、主人公の言動は至極常識的です。「今までこうだったから」「普通はこういうはずだから」という外圧には、決して屈しません。言うべきことは言う。やるべきことはやる。できる範囲内で、お節介もしたりしますが、相手に押し付けることはしない。あらまほしき大人の女性です。主人公の影響は、一緒に暮らす兄弟にも余裕を持たせ、彼氏にも成長があります。
多様性の時代と言われていますが、我々は無意識のうちにも何でも型にはめてしまう傾向がないでしょうか。一般的なスタイルの生活が、常識的とは限らないのではないでしょうか。
ぜひフラットな気持ちで、この四人を見守って読んでみて欲しいのです。