アメリカン・サイコ / American Psycho

アメリカン・サイコ / American Psychoのレビュー・評価・感想

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アメリカン・サイコ / American Psycho
7

本当の自分とは?

殺人のシーンと名刺対決のシーンばかりが有名で、あまり本質について触れられづらい映画だけど、思ったよりも当時のアメリカの文化人(笑)に対する皮肉が強い映画で面白かった。
最初のシーンで「本当の俺はどこにもいない」と言いながら薄くはったパックをペリペリ剥がしていくシーンや、名刺の自慢大会で大汗をかいたりするところ、女にだけ地獄みたいに高圧的なところが自分への自信のなさと、自分より弱いと思っている女へ攻撃することでバランスを取っている姿が哀れで仕方なかった。
異常なまでの潔癖や、娼婦にエロいことをさせながらポップ音楽の批評をくどくどしたり、気持ち悪すぎたな。
セックスしながら鏡で自分を見ているところがこの映画の全てだな。
ジョジョ4部の吉良吉影はこの映画がモデルなのだろうか。
とにかくこの映画は「飽和しすぎた価値観と物」と、それに左右されているセレブたちを嘲笑っているようで、平たくいえば「スカッとジャパン!」みたいな作品ではある。貧乏な人やマイノリティ側の鬱憤を晴らしている側面と、金持ちだって大変なんですよ!(棒読み)と言った皮肉が詰め込まれているように感じた。
ミステリーでも無ければスプラッターでもない、これはヒューマンドラマなのかもしれない。