宮本から君へ

宮本から君へのレビュー・評価・感想

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宮本から君へ
7

全ての不器用な人間に捧ぐ

人生は上手くはいかず綺麗事では済まされない。世の中に中指を立てるような異臭を放つ作品に仕上がっている。
ドラマでは文具メーカーに勤める宮本(池松壮亮)がサラリーマンという仕事にやりがいをどこに持っていけば良いのか分からず、不器用ながらも自分の正しさと社会の正しさをすり合わせ、サラリーマンとして成長していくというどの人が見ても比較的に好感の持てる物語であった。
本作の映画はドラマの続きになっているが壮大な血生臭い復讐劇になっている。
宮本(池松壮亮)が、会社の元先輩神保(松山ケンイチ)の友人中野靖子(蒼井優)と恋に落ち、恋にも不器用だった宮本にも幸福のひと時が訪れる。ある日営業先で気に入られた馬淵部長(ピエール瀧)と大野部長(佐藤二郎)に飲み会に靖子と誘われ出席する。宮本はその飲み会で1人酔い潰れてしまい、大野が馬淵の息子拓馬(一ノ瀬ワタル)を呼び出して車で宮本と靖子を宮本の家まで送るように言いつける。
拓馬はラグビーで鍛え上げられた巨漢だったが帰りの車では社交的であり弟のような人懐っこさを見せていた。靖子も警戒心などなく送ってもらったお礼に家に拓馬をあげてしまう。泥酔して眠っている宮本を横目に拓馬が靖子を強姦してしまうところから物語は回り始める。
ここから不器用な宮本の一世一代の喧嘩が、復習が始まる。
「生きる」とは「守る」とは何なのか池松壮亮と蒼井優が体当たりで演じてくれている。
また真利子哲也監督もヴァイオレンスな描写を勢いだけで押し付けるのでなく「暴力は暴力」だよと一線を引いて教えてくれている気がした。

宮本から君へ
10

誰も宮本のように生きれないからこそ、羨ましい

池松壮亮と蒼井優主演、宮本から君へ。漫画原作からドラマ化、映画化と続いた話題作。冒頭は濃厚なラブシーンこそあれど、少し昭和の匂いがするほどベタな純愛ストーリー。池松壮亮扮する宮本と蒼井優扮する中野靖子は不器用ながら恋人同士となる。その2人に容易には越えられない壁が立ち塞がる。中野靖子がレイプされたのだ。宮本が酔って寝ている、その横で。宮本は悪くない、中野靖子もそれは重々わかっている。だけどこんな時人間はそんな理屈は通らずに暴走してしまう。宮本に中野靖子が言った言葉は、「殺してよ、宮本」
相手は熊みたいに大きなラガーマン。絶対に勝てない喧嘩に絶対に勝ちに行く宮本。その無謀さと痛々しさに心から憧れる。俺の人生バラ色だから、人を愛せるんだ宮本は。人に幸せにしてもらおうだとか人を幸せにしようだとか、そんな浅ましい考え全部投げ捨てて、ここに愛があるじゃないか、最高!と思える。みんなほんとは、宮本みたいに生きていきたいんじゃないかなあ。少なからず私は宮本がとても羨ましい。なろうと思っても絶対になれないしなっちゃいけない。笑 だけどあんな人生送れたら、きっと笑って死ぬだろうなあ。宮本から君へ、人生のバイブルに。おすすめ。