大貫妙子

大貫妙子のレビュー・評価・感想

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大貫妙子
10

J-POPの先駆者

日本の流行歌の歴史においては1970年半ばに新しい時代が始まり、それがのちにJ-POPと呼ばれるようになっていきました。そしてそれが主流となっていくのですが、その先駆者として新しい音楽を創始した1人が大貫妙子なのです。
彼女ははじめ、SUGAR BABEというバンドのメンバーとしてデビューしました。そこではキーボードを弾き、また作詞作曲した曲に関しては歌っていました。その彼女が作った楽曲は当時の日本のポップスのなかでは異色な感じの雰囲気で、情緒に流れずにクールな雰囲気が出ています。当時はシンガーソングライターが作った曲は、まだ四畳半フォークの影響が残っていて情緒纏綿たる作品が多かったのですが、大貫妙子はそういう要素の全くない新しい方向性を打ち出していたのです。
その後間も無くバンドは解散して、彼女はソロデビューを果たします。そしてバンド時代に作っていた曲の方向性をさらに進めて、当時の日本の主流派とは異なるタイプのクールで美しい楽曲を作っていきました。
また歌唱法としては甘さとは無縁のサラッとした歌い方を確立して、歌い上げるスタイルではなく、しかし、のちに出てきた歌手たちのように囁くように歌うのとも異なる方向性に進みます。
大貫妙子は、その後もさまざまな楽曲を作り歌ってきています。
今後も注目していきたいところですね!

大貫妙子
9

レトロで最新、一度聴いたら忘れられない音と歌詞を作る人

大貫妙子さんは70年代にいい曲をたくさん出しておられます。70年代というと古いと感じられるかと思いきや、彼女の素朴で透明感のある声や、オシャレな音や歌詞は今でも通じる素晴らしい音楽です。少女のような声で人に衝撃を与える人です。海外でも人気になっているようです。あるアメリカ人は彼女の曲をネットで見つけてひとめぼれし、レコードを探し、わざわざ彼女のコンサートに行きたいがために来日したようです。そのレコードをもって。彼女の魅力は何といってもその声だと思います。ものすごく歌唱力があって圧倒的な歌声、ではなく、とてもか細く繊細で、透き通るような濁りのない声で人の心を引き寄せます。切ない歌もとても素晴らしいですが、ポップに歌う軽い曲も時代を超えてとてもオシャレで何度も聞きたくなる、ある意味癖のある歌い方です。歌詞も不思議だけれど、わざとらしかったり無理があるようなものではなく、人間の心理をよく洞察されている深い歌詞だと思います。デビューしたての頃からしばらくはあまりに音楽レベルが高すぎて日本の大衆の理解を得られなかったようですが、今は耳の肥えたいろいろな音楽を聴く人も増えているのでかなり人気になっています。聞く人が異次元の世界に入り込んでしまったような不思議な気持ちにさせられるすごい魅力をもった人です。