Pikuniku / ピクニック

Pikuniku / ピクニックのレビュー・評価・感想

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Pikuniku / ピクニック
5

ゲームタイトルはピクニックだけどpicnicではなくてPikuniku。というか全然ピクニックじゃない

海外ゲーム会社制作の、原色で描かれた絵本のような、一見ポップで中身はシュールなアクションパズルアドベンチャーゲーム。
Steam版およびNintendo Switch版は日本語化されている。
ゲーム自体は難易度は低めで、ボリュームも多くはない。
内容もどちらかといえば児童向けだが、シンプルで美しいデザインセンスと独特なキャラ&世界観のおかげで大人でもそこそこ楽しめる。

チューブ絵具をヘタに混ぜずにそのまま塗ったようなプレーンな色彩(ただし卓越した色彩センスが必要)に、無駄をそぎ落とし極限まで単純化されたデザインの世界。
主人公なんてシンプルすぎてマル描いてチョン、プラス棒状の2本足で幼稚園児でも描けるので、絵心がないママでも安心。
それほどまでに単純な格好の主人公だが、分かりやすい外見なのに実際には何者なのか分からない。
そもそもヒトなのかどうかも一切説明もない。
なので出会った通行人にも怪物とか言われる始末。
まぁその通行人も似たような容姿なので、むしろ足以外まったく特徴がない姿こそがその世界においては異形なのかもしれない。
そんな怪物もといカエルなりかけオタマジャクシの主人公が、ゲーム開始時に挿入される謎の大企業の謎コマーシャルのあとに、謎の封印されし洞窟から目覚めて、その謎の洞窟に住んでいる謎ゴーストと会話するところからゲームは始まる。
文章にするとなんだか要素が多すぎる気もするが気にしてはいけない。
そしてゲーム開始直後はまんまるの、紅白マンジュウの赤いほうのような主人公に足が、一切説明なしにニョキニョキと生えてくるのだが、その無駄に滑らかに動く足のみが主人公の唯一の特徴なので、ゲーム中に可能なアクションは基本ジャンプとキックのみになる。
何かあったらキック。岩を砕いてキック。閉まった扉もレンジャー部隊突入のごとく蹴り開けてキック。
意味なく蹴った相手に痛いと言われようが足クセ悪いと言われようがとにかくキック。キックキックキック。
そして足しかないのに一応アイテム使用や装備変更、「話す」とかできるボタンもあり、足しかないのにロープにつかまったりゲーム中で絵を描くこともできる。
足しかないのに。
そんなガウォークバル〇リーかナ〇キックかスター〇ォーズのAT-STウォー〇ーかという、神にも悪魔にもなれる黒鉄の黄金の赤い脚の破壊力を持つ主人公が、序盤の怪物扱いが一切なかったかのように当たり前に、素朴で純粋な田舎の人間社会になじんでいき、そして都会からの一大企業の自然破壊に抵抗するレジスタンス市民へと成り上がり、もとい成長していく(主にキックのみで)。

全体的にアクションゲームとしては簡単な部類。世界的に有名なヒゲの配管工ゲームが中盤までクリアできる人ならすんなりとクリアできるレベル。
ただストーリー上、4ボタンのリズムゲームをクリアする必要があるので苦手な人は注意か。
ボリュームはないが主人公の足の、妙に接地性が良くてなまめかしい動き(足自体は棒なので萌えない)は見てて楽しいので、個人的にはおすすめ。