幸子、生きてます

幸子、生きてますのレビュー・評価・感想

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幸子、生きてます
8

不幸せな幸子の日常

金も幸も子もない金子幸子、市役所勤務、33才独身、婚活中の金子幸子さんの日常話です。
ロマンを求めて、社交ダンスを習いにいったら老夫婦の教室だったり、元彼にもらった魚拓を持って旅に出たりと、不幸な話なのですが、なんか楽しそうに見える、そういう不思議な作品です。
幸子さんの近場には幸子さんと気のあいそうな図書館勤務の男性がいて、その人とお蕎麦を食べにいったりしているのですが、互いにタイプじゃないんでとか言っちゃって、ひっつかないところがまたおもしろいです。
幸子には飲み仲間の2人の女友達がいるのですが、その二人も強烈でいいです。
一人は処女拗らせ女で、何かと言うとその話になるし、幸子にも元彼がいるじゃんとからんできます。
もう一人は学生時代には幸子らが近づけなかったAクラスの女で、今は不倫していて、独身になり、幸子らと友達になった女です。
彼女は別れましたとかいいながら、また不倫に戻りそうで幸せになれそうにありません。
あと、市役所の面々もほんわかしていて、見ていてほっこりしました。
私が好きな話は、幸子が年2回、絵馬と七夕の短冊で見かける、顔も知らない中津川拓也に淡い恋心を抱く話です。
それでしか知らないと、それだけでいろいろ妄想して勝手にいい人認定してしまいますよね。
すごく共感できる話でした。