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マイアミのドンにふさわしい重厚感と包容力
マイアミのドンとしてHIP HOP界に堂々と君臨するリック・ロス。2006年のメジャーデビューからヒットアルバムをリリースし続け、堅いキャリアを築いています。
1976年生まれのリック・ロスはDef Jam傘下のレーベルからメジャーデビューした時にはすでに30歳で、長い下積みを経験しています。そんな彼の音楽は重みがあり、渋い魅力を持っているのが特徴。そして重厚感だけではなく、トラックには美しいメロディーが乗っているのも印象的です。
また、どっしりとした体から発せられる包容力のある声は安定感抜群。際どい内容をラップしていても、落ち着きのある風格を見せています。
ヒットシングルとして有名なのは「Aston Martin Music」。2010年のアルバム『Teflon Don』に収録されています。爽やかでキャッチーなところがヒットの要因でしょうか。
フィーチャリングアーティストに売れっ子ラッパードレイクと、雰囲気のある女性シンガーソングライターのクリセット・ミッシェルを、迎えて製作されています。
同じく女性アーティストを共演に迎えた曲では「Summer Reign」も素晴らしい出来となっています。こちらは2019年のアルバム『Port of Miami 2』に収録。
しかし、美しさが突出しているのは2017年の『Rather You Than Me』の1曲目となった「Apple of My Eye」ではないでしょうか。ラファエル・サディークのソウルフルなコーラスと、ジャジーなトラックが、内省的なラップを支えています。