RENT/レント

『RENT/レント』とは、2005年にアメリカで公開されたミュージカル・ドラマ映画。ジョナサン・ラーソンによるブロードウェイ・ミュージカル『レント』の映画化作品である。監督は『ホーム・アローン』シリーズや『ハリー・ポッター』シリーズでもメガホンをとったクリス・コロンバス。
ドキュメンタリー映画監督志望のマーク、ミュージシャンのロジャー、ストリップダンサーのミミを主人公に、HIV、同性愛、薬物依存、貧困などの問題を抱えながらも、今を必死に生きる8人の若者を描いた物語。1980年代のニューヨーク・イーストヴィレッジが舞台となっている。
原作のミュージカルはトニー賞ミュージカル作品賞や、ピューリッツァー賞を受賞。
映画の演出上、すべては使用されていないが、ミュージカル版の楽曲がそのまま使用されており、テーマソングの「Seasons of love」はビルボード誌のシングルチャートで、初登場68位を記録した。
映画版では、ミュージカル版のオリジナルキャスト6名が同役で出演し話題となった。

RENT/レントのレビュー・評価・感想

RENT/レント
8

今日という日を後悔しない様に生きる

皆さんはミュージカルが苦手ということはないだろうか。突然感情の赴くままに、舞台上の人物たちが何の脈絡もなく歌いだす。かくいう筆者も有名なミュージカルを観た時、最初は疑問に思ったものだ。結論から書くと、あれは計算された効果であり、演出上のお作法に過ぎない。
今回紹介するミュージカル「RENT」は、そのお作法を踏襲しながらも、圧倒的歌唱力と合唱の魅力、歌詞に表れている通り愛に溢れた作品だ。RENTの言葉の意味は「家賃」。借りるの意味もあり、家賃を払えない若者たちの1年間のできごとを記した物語。初回にオフ・ブロードウェイを皮切りにブロードウェイで上演される。私たち日本人にはあまり馴染みの薄いエイズや同性愛を描いている。最初に流れる曲「Seasons Of Love」はRENTの真骨頂であり、作品のテーマをも内包している。歌詞にも表れている通り1年を分に直した数字を愛で計ってみてはどうだろうかという提案が入る。舞台上でスポットライトを浴びる登場人物。それは1人1人が主役だという意味合いもある。この映画は観る人によって、誰の視点で物語を観るかによって見え方がガラリと変わる。それは現代社会に生きる私たちの多様性をまるで鏡の様に映しだす。あなたの傍には、愛しい人は居るだろうか。