電子戦隊デンジマン

電子戦隊デンジマンのレビュー・評価・感想

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電子戦隊デンジマン
7

シリーズの基礎土台を作り上げた良作

いわゆる戦隊シリーズの基礎土台を作り上げた作品、という位置づけになるでしょうか。
前作で培った要素を継承しつつ原点である「ゴレンジャー」のスタイルに戻し、その上で新しい文法を作り上げ完成させたのが本作です。
まず大きく目立つのは「3000年前に起きた戦いの続き」であるということ。
本作はシリーズ初の地球人対異星人という、スペースオペラ映画の文脈を大々的に導入しました。
ベーダー一族はデンジ星の生き残りであるアイシーとの因縁を持ち、それにデンジ星人の血を引く五人の子孫が選ばれ戦うという「宿命」の要素が強くなっています。
後の「ギンガマン」が正にこの設定を強く継承しているのですが、本作だとまだまだ「設定」に留まっており「物語」のギミックにまでは組み込めていません。
二つ目にOPの歌詞にもあるように頭にきらめくデンジメカ…あの電子回路が剥き出しの頭脳みたいに見えるのはややホラーながらもインパクトとして強烈で、後のバイオマン、メガレンジャーの頭にメカが浮かぶマスクは本作を継承したものです。
そして三つ目がシリーズ初の変形巨大ロボの登場です。
ダイデン人は戦闘機から人型ロボへと変形しますが、これはロボアニメの意匠を取り入れたものであり、当時としては実写でメカ変形を描いたというのがかなり画期的でした。
そんな数々の魅力を持った本作ですが、ドラマとしての見所が実は終盤にあり、デンジマンとベーダー、そしてバンリキ魔王の三つ巴の戦いとなります。
その戦いの中でアイシーとデンジマン五人の戦いのスタンスにおける対立があったり、バンリキ魔王の暗躍があったりしますが、釈然としないのは最終的にデンジマンがヘドリアン女王にヒントを貰わなければバンリキ魔王を倒せなかったということです。
つまりシリーズでも数少ない「敵からヒントを貰って倒した戦隊」なのです。
面白い展開ではありますが、やはりヒーローならばそこには自力でたどり着いて欲しいところで、それが今見直した時に耐え難い違和感として残ります。
しかし、シリーズの土台を完成させ、次作「サンバルカン」以降へ繋いでいくための基礎土台を構築した良作として本作は残り続けるでしょう。