超新星フラッシュマン

超新星フラッシュマンのレビュー・評価・感想

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超新星フラッシュマン
3

迷走期に突入

前作「チェンジマン」という昭和戦隊最高傑作で一つの頂点に到達した戦隊シリーズが新しい方向性へ進もうとするも撃沈した、そんな一作です。
本作のテーマは「中国残留孤児」であり、「バイオマン」が持っていた「骨肉相食む肉親の大河ドラマ」の色をより強くする方向に行ったようです。本作の面白い所はヒーロー側に「肉親捜し」という、敵組織との戦いとは別の目的が生まれたことです。
今でこそ「戦いとは別の目的」を持った戦隊は珍しくないですが、この当時はそれ自体が斬新な発想であり(とはいえこれ自体70年代ロボアニメで行われているのですが)、それがシリーズにとってとても大事なターニングポイントです。
また、本作は「ジャッカー電撃隊」以来の改造人間という設定が組み込まれており、メスへの復讐を誓ってプリズムエネルギーという星の力(前作で言うアースフォース)を体内に取り込む形となりました。
とはいえ、これらの要素が成功したのかというとそうではありません。
まず肉親捜しと言ってもそれをやっていたのは初期数話と終盤の数話だけで後はそれまでの戦隊シリーズと然程変わらない一話完結型のエピソードが続いていましたし、敵側のメスとそのフラッシュマン全体での因縁も上手く構築出来ませんでした。
また、終盤で明らかとなるケフレンが元地球人だったというのも「バイオマン」のドクターマンの焼き直しに過ぎず、しかもそれが物語全体に多大な影響を及ぼすのかと思いきや別にそうでもなかったので、何なんだと拍子抜けしたほどです。
肉親捜しというテーマは結局の所イエローのサラと時村博士しかその要素を部分的に継承出来ず、かつ再会すら果たすことが出来ず、また終盤で問題となる反フラッシュ現象のせいで地球に居られなくなるなど、真の敵はメスよりも寧ろプリズムエネルギーそれ自体にあるというトンチンカンなことになってしまい、シリーズとして斬新な試みはあるものの、作品全体として結実するには至りませんでした。
よって個人的には余りお勧めは出来ず、良い部分もそれなりにはあるものの、全体で見るとやはり得失点差マイナスの出来映えとなってしまいました。
ここから暫く戦隊シリーズは迷走期へと突入することになるのですが、その最初のターニングポイントとなった作品です。