9
実力派アーティスト三人が開拓した新境地
UKの男性シンガーソングライターのラビリンスと、オーストラリアの女性シンガーソングライターのシーア、そしてアメリカのDJ/プロデューサーであるディプロの三人がタッグを組んだユニットです。
一声聴いてすぐに誰だかわかるシーアの印象的な歌声にはあいかわず惹きつけられますが、もうひとりのシンガー、ラビリンスの歌がこれまた素晴らしい。
情感たっぷりに歌い上げられていて、シーアとディプロというお馴染みのコラボに繊細でフレッシュな感性をプラスしています。
ダンスフロアを沸かせる刺激的なサウンドが個性のひとつとなっているディプロの音が、このユニットでは意外にも穏やかでピースな雰囲気にまとまっています。
LSDというユニット名や、カラフルでどこかサイケデリックな印象のあるジャケットのアートワークから想像するに、60?70年代のヒッピーカルチャーからインスピレーションを受けているのかなと感じました。
「ラブ&ピース」を掲げ、自然を愛して自由を謳歌したヒッピーの精神のように、のびのびとした曲調の楽曲が多く、三人のそれぞれのソロでの活躍よりもシリアスさが抜け、解き放たれているような心地よさがあります。
2010年代をサバイブしてきた三人は、新しい境地を開拓しているのかもしれません。
アーティスト自身やリスナーを鼓舞し、扇動するような音楽ではなく、朗らかにハーモニーを奏でる美しさを提示しているように思います。