救急戦隊ゴーゴーファイブ

救急戦隊ゴーゴーファイブのレビュー・評価・感想

救急戦隊ゴーゴーファイブ
8

面白いのだが詰めの甘さが目立つ名作

前作『星獣戦隊ギンガマン』の成功体験を受け、今度は99年と「救急」、またノストラダムスの予言など当時まことしやかに信じられていた言説をも取り込み作られた作品です。歴代でほぼ唯一の「救急」という要素もあり、いわゆる90年~92年まで続いた「レスキューポリス三部作」の流れを戦隊シリーズに導入した作品、と言ってもいいかもしれません。また本作は『地球戦隊ファイブマン』以来の兄弟戦隊ということでも有名です。
また、前作「ギンガマン」の数少ない欠点の一つには「巨大戦の描写が(特に後半)ワンパターン」という欠点もあり、救急マシンを使っての救助作業などミニチュアを交えながらの特撮は凄く面白く見応えがあります。また、ゴーレッド・マトイ兄さんと父親・巽モンドをはじめ巽兄弟五人のキャラクターもしっかりと立っており、人の命を、地球を守ることに関しては本気で命を賭けている感じがしっかり伺え、ヒーロードラマとしては申し分ない程格好いいです。
とはいえ、総合的に見ると本作はどうしても前後の「ギンガマン」「タイムレンジャー」などの小林靖子メインライター戦隊に比べると設定やドラマ性、年間を通しての作風の統一性、完成度の高さなどで見劣りしてしまうという印象は否めません。その理由として一話一話は濃いエピソードもあって充実していて面白いのですが、本作の問題点の一つであった「家族戦隊であることの意味」については割と掘り下げ不足の面が目立った感じです。特に序盤8話くらいまでをかけて描かれていたモンド博士と巽兄弟五人の確執はそこまでドラマとして盛り上がらず、また最終回で帰ってきた母についても終盤まで殆ど伏線がない為どうしても唐突に帰ってきたように見受けられます。
また、本作のコンセプトである「救急」についても序盤のビクトリーロボは救急と戦闘が一体化したマシンですし、ライフバードも救助と戦闘を兼ねるツールとして遊び心をくすぐるものだったのですが、後半に出てくるVランサーやVモードブレス、ゴーブラスターなどは完全な戦闘用の武装ですし、ロボにしてもライナーボーイやビクトリーマーズなどはほぼ救助関係ありません。それに伴い後半だとめっきり救助シーンも少なくなり、時々思い出したように入れる程度になってしまいました。
故にどうしてもキャラの深みという点ではどうしてもキャラの描写が一面的に見え、決して「オーレンジャー」程薄っぺらくはないけど、かといって前作「ギンガマン」のリョウマ達に比べると深みというか奥行きが足りないように見えてしまうのですよね。故に最終回の家族再会も感動が少し薄かったり…娯楽性は凄く高く、ヒーローものとしては面白いだけに、もう一歩の所で傑作にまでは突き抜けきれない名作止まりというのが本作に対する評価です。