杉原千畝 スギハラチウネ

杉原千畝 スギハラチウネのレビュー・評価・感想

杉原千畝 スギハラチウネ
3

抑揚が無くちょっと退屈

第二次世界大戦期にユダヤ人にビザ発給して命を救った外交官杉原千畝を主役にした映画です。
ドキュメンタリーというほど史実に忠実ではなく、かといって物語と割り切ってドラマチックな演出をしているわけでもなくちょっと中途半端な印象は否めません。
ただ、東洋のシンドラーと言われて日本国内よりも世界から評価の高い人物の活躍を映像化したという点では淡々と観られていいと思います。
全体的にテーマがはっきりせずどこがクライマックスの感動ポイントなのかちょっとわかりにくく、エピソードが淡々と羅列されていき、主演の唐沢寿明も無表情で気持ちを内面に秘めた演技をしているので、杉原の心情は観る側でぼんやり補完しながら観るほかありません。
人道的な行いをした杉原は、当時の世界情勢でスパイ活動をしていたことがはっきり描かれていてそれはスリルがあって面白いのですが、その杉原が本国の命令に反してでも人道的な行動を取った流れが描き切れていない気がします。小雪演じる奥さんから言われたから、というだけに感じて物語仕立てにした割には弱いなと感じます。
奥さんと出会う以前に親しかった白系ロシア人女性スパイとの因縁の描き方もちょっとぼんやりしています。
戦争が終わって杉原が行動を振り返るシーンでも、結局杉原がロシア人元彼女?と現在の日本人妻どっちに心を寄せているのかもよくわからず、やっぱりモヤっとしてしまいます。
ただ、杉原の生涯の大筋を映像化した点は非常に評価できます。