ケミカル・ブラザーズ / The Chemical Brothers

ケミカル・ブラザーズ / The Chemical Brothersのレビュー・評価・感想

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ケミカル・ブラザーズ / The Chemical Brothers
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不動の人気を誇るエレクトロデュオ

ケミカル・ブラザーズはイギリスのエレクトロニカ・ダンスミュージックのアーティストとして成功した男性二人組のユニット。日本でもテクノ四天王と呼ばれるアーティストの内の1つとして数えられ、高い人気を誇っています。ライブ活動を精力的に行うことでも知られ、来日の際には多くのファンが詰めかけています。2019年のアルバム『No Geography』の一曲目「Eve of Destraction」には日本語のラップが見つけられるなど、面白い発見も。
大沢伸一が2007年のアルバム『The One』の中に、ケミカル・ブラザーズの名曲「Star Guitar」のカバーを収録したときは、改めてこの曲の美しさを思い出させられました。原曲の「Star Guitar」は、2002年にリリースされた彼らのアルバム『Come With Us』に収録されています。「うるさい曲ばかり作っていると思われるのもなんだから、綺麗な曲も入れてみたかった。」という本人達の発言が表すように、非常に美しい曲です。この曲はミュージックビデオもクリエイティブ。ひたすら走る電車の窓から見える外の景色を流しているのですが、すれ違う電車や、通り越していく電柱や建物などが完全に曲の音が鳴るタイミングと一致して現れるのです。どうやって製作しているのだろうと不思議になりますが、その映像と音がマッチしている感覚が気持ち良いので、ぜひ見てみてください。
ケミカル・ブラザーズの名曲は他にも並べればたくさんあり、ブレイクビーツを軸にして作られた凝ったドラムパターンがワクワクさせてくれます。刺激的なサウンドでありつつ、嫌味がないところも魅力のひとつ。曲にボーカルを入れるときは外部のアーティストを客演に迎えているのですが、その人選に注目が集まったりもしています。
もうひとつ美しい曲を挙げるとするなら、2015年のアルバム『Born in the Echoes』に収録されている「Wide Open」もおすすめ。こちらはアメリカを代表するアーティスト、ベックを客演に迎えています。