アメル・ラリュー / Amel Larrieux

アメル・ラリュー / Amel Larrieuxのレビュー・評価・感想

アメル・ラリュー / Amel Larrieux
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自由な表現が魅力。じっくり聴きたいネオソウル

アメル・ラリューはアメリカのR&B・ソウルのシンガーソングライターです。宇多田ヒカルが影響を受けたアーティストとして、日本でも広く知られるようになったように思います。また、大沢伸一のプロジェクト、モンド・グロッソの2000年のシングル「Now You Know Better」のボーカリストとして迎えられたことからも、注目を集めました。この曲では抒情のあるギターの演奏をバックに、自己を見つめ、自分自身をとり戻そうとする歌詞をアメルが歌い上げています。その美しさに感銘を受けた人も多いのではないでしょうか。
しかし、それ以前からアメルが90年代に参加していたデュオ、グルーブ・セオリーが「Tell Me」などのクラブヒットを飛ばしていたので、ブラックミュージックのファンには知られていた存在でしょう。99年にデュオを脱退してからは、ソロでの活動となり、2000年にファーストアルバム『Infinite Possibilities』をリリースしています。グルーブ・セオリー時代と比べると、落ち着いて満足しているような印象。ジャズ、R&B、ソウルなどを基盤に、自由で独創的なアメルワールドが作り上げられています。素直に自身を表現することを恐れない、芯の強さを感じられる作品です。
2003年にはプロデューサーでもある夫とインディーレーベル、ブリスライフ・レコーズを立ち上げ、そこからアルバムをリリースするようになります。その結果、より高い自由度を獲得した模様。2004年のアルバム『Bravebird』では、空を自由に飛び回る鳥のように解放された精神が表現されています。みずみずしく爽やかなサウンドをバックに、ときに低音で深く、ときにハイトーンで軽やかに響く歌声が心地よい作品です。
2006年にリリースされた『Morning』ではまた違う顔を見せ、こちらはアットホームな雰囲気が感じられます。サウンド面では実験的な試みもなされている印象。無理をせずに等身大でいられるような、ホッとするアルバムです。
次の作品ではジャズのスタンダードのカバー集となっており、本当に自由に、心に従って活動していることが窺えます。『Lovely Standards』と名づけられたこのアルバムは、往年のジャズの名曲がアメル流の解釈でまとめられた作品。忙しい日常から離れて、しばしの安らぎへと導かれます。
そして2013年になると再びオリジナルの曲を収録したアルバム『Ice Cream Everyday』をリリース。これまでになくアグレッシブな作品となっています。それは、おそらくストレートに愛を表現したからだと思います。誰かへの想いを伝える歌だからこそ、熱く甘い情熱がほとばしっているのではないでしょうか。