四季の狂剣・神無絶景

四季の狂剣・神無絶景のレビュー・評価・感想

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四季の狂剣・神無絶景
9

国にとっての英雄ではなく、たった一人の英雄を選択する。

公式の作品ページのキャラ紹介に、堂々とラスボスが紹介されているゲームも珍しい。更にそのラスボスがヒロインも兼ねていると紹介されているのは更に珍しいのではなかろうか。このゲームは一人の無力だった少年が、自分より遥か先に行ってしまった少女に追いつき、少女にまとわり着いた呪縛を力づくで引っ張ってそのまま断ち切る物語。

舞台は「真剣勝負での殺し合い」が国の決まりとして認められている大陸。国のトップとなった少女の下に囲われている少年がその庇護から脱し、様々な出会いと真剣勝負を経て成長していくアドベンチャーパートと、実際にキャラクターを操作する戦闘パートに分かれて進行していく。両パート共に各キャラクターが滑らかにアニメーションして場を盛り上げ、特に戦闘パートでは各キャラクターが所せましと入れ替わりながら戦う様は見ているだけで面白い。ただし操作体系は単純で移動キー・通常攻撃キー・固有技キー・特攻キー、と4つのボタンしか使わない単純仕様。更に言えば特攻キーは使いどころが限られるので実質メインは3ボタンの単純操作で各キャラクターを思うとおりに動かせる。戦闘中は各条件を満たすと「特殊な状況」が発生。例えば自分と相手の攻撃が同時に繰り出されたら得物同士がぶつかりあう「鍔迫り合い」。自分と相手が近・中距離で間合いを計って動かずにいると、お互いが示し合わせて遠ざかる「仕切り直し」等戦闘中は常に画面に動きがあって飽きさせない。

かつての少年が幾多の試合。そして真剣勝負=殺し合いを経て一人前の青年として成長し、最終的に国のトップと対峙した時。かつての少年はかつての少女にこう言った。

「いっしょに――よう」