もし自分の子どもが犠牲になったら、人を殺めてしまったらどうするか
これは、伊藤実による、全二巻の作品です。
ある日、もう帰ってきているはずの時間帯に、愛する息子キヨタンがいない。キヨタンは、中学生の姉美帆子と、お父さんとお母さんと暮らしていた、小学1年生の男の子。姉には時々強く当たられることもあるけれど、愛に溢れた生活を送っていた。しかし、必死の捜索の末に発見されたキヨタンは見るも無残な姿であり、加害者はなんと、小学6年生の男の子だった...。キヨタンを失った父と母は悲しみにくれ、美帆子は最後にキヨタンにかけた言葉を悔やみ、報道メディアや学校・職場での視線にもまれる日々を送る。そんな中で生まれたのは、なぜキヨタンが殺されなければならなかったのか、加害者の親はいったいどういう人なのか、世間でいう「良い母親」とはいったいどのような母親なのか、といった疑問であった。親と子との複雑な関係、子どもの心の純粋さ、「愛する」ということはどういうことなのか、読み進めていくにつれて、大切なことについて考えさせられる漫画。
この作品は前編と後編に分かれており、前半は主に被害者側の家族、後編は加害者側の家族に焦点が当てられています。とてもリアルな描写で、胸が苦しくなるようなやるせなさを感じることもありますが、事件を乗り越えて前に進む家族たちを見て、人間の強さに感動させられる内容です。読み終えたあとは、必ず一つは胸に刻みたい言葉が見つかるはずです。子どもとの関係に悩んでいる親御さん、教師など子どもに携わる職業を目指す人に特にオススメです。