アイシテル〜海容〜

アイシテル〜海容〜

『アイシテル〜海容〜』とは、日本のヒューマン系漫画作品である。作者は伊藤実。2006年から2007年まで、『BE・LOVE』で連載された。単行本は全2巻となっている。
主人公の小沢聖子は、愛する夫と中学2年生の娘、小学1年生の息子とともに幸せな生活を送っていた。しかしある日の下校途中、聖子が10分間離れている間に息子の清貴が何者かに殺害され、家族の生活は一変する。そして、息子を殺した犯人が、違う小学校に通う11歳の男の子という衝撃の事実を知る。最初は男の子を激しく憎むが、非常に辛い過去があったことを知り、加害者の家族に会いたいと考えるようになった。
被害者家族の苦しみだけではなく、加害者側の苦しみも描かれており、読者は双方の立場を知ることになる。
2009年に稲森いずみ主演でドラマ化され、放送終了後には、2010年から同誌で続編が連載され、年内に終了した。そして2011年には、スペシャルドラマが放送された。

アイシテル〜海容〜のレビュー・評価・感想

New Review
アイシテル〜海容〜
9

もし自分の子どもが犠牲になったら、人を殺めてしまったらどうするか

これは、伊藤実による、全二巻の作品です。

ある日、もう帰ってきているはずの時間帯に、愛する息子キヨタンがいない。キヨタンは、中学生の姉美帆子と、お父さんとお母さんと暮らしていた、小学1年生の男の子。姉には時々強く当たられることもあるけれど、愛に溢れた生活を送っていた。しかし、必死の捜索の末に発見されたキヨタンは見るも無残な姿であり、加害者はなんと、小学6年生の男の子だった...。キヨタンを失った父と母は悲しみにくれ、美帆子は最後にキヨタンにかけた言葉を悔やみ、報道メディアや学校・職場での視線にもまれる日々を送る。そんな中で生まれたのは、なぜキヨタンが殺されなければならなかったのか、加害者の親はいったいどういう人なのか、世間でいう「良い母親」とはいったいどのような母親なのか、といった疑問であった。親と子との複雑な関係、子どもの心の純粋さ、「愛する」ということはどういうことなのか、読み進めていくにつれて、大切なことについて考えさせられる漫画。

この作品は前編と後編に分かれており、前半は主に被害者側の家族、後編は加害者側の家族に焦点が当てられています。とてもリアルな描写で、胸が苦しくなるようなやるせなさを感じることもありますが、事件を乗り越えて前に進む家族たちを見て、人間の強さに感動させられる内容です。読み終えたあとは、必ず一つは胸に刻みたい言葉が見つかるはずです。子どもとの関係に悩んでいる親御さん、教師など子どもに携わる職業を目指す人に特にオススメです。