聖の青春

聖の青春のレビュー・評価・感想

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聖の青春
7

自分を持っている人

私は将棋のことはそんなに詳しくはないのですが、羽生さんとか渡辺さんとか好きな棋士がいて、村山さんのことも映画の前から知っていました。でも詳しいことはしりませんでしたし、映画を見て、そんな昔から病を抱えていたのかとびっくりしました。子どもの時に、いろいろ制限があるのはとても大変だったと思います。そして、彼のお母さんが医師に怒られているところはすごくつらかったです。そんなの気が付きにくいですよね。医師としても、もう少し早く来てくれたらといういらだちから出た言葉でしょうが、すごく嫌な言葉だなと思いました。
その後、棋士になって、制限についても自分で破ったりしていた村山氏。自分というものを大事にしていて、変わり者と思われたりしていただろうけど、周りでも彼はああだからと認めていて、本当は彼のことを好きだったのだろうなと思います。村山さんは、同時期に羽生さんという絶対的な存在がいて、それは幸せだったのか不幸せだったのかといろいろ考えました。勝てはしなくても、死に物狂いで将棋の研究ができてすごく幸せだったのかなと感じました、松山ケンイチさんは体型の変えて、村山さんを演じており、すごかったです。さすが、カメレオン俳優だと思います。

聖の青春
9

1994年、プロ棋士・村山聖(さとし)六段は、将棋界最高峰のタイトル「名人」を目指し、15歳の頃から10年間弟子入りし同居していた森師匠の元を離れ、上京しようとしていた。聖の上京を広島の両親は強く反対する。それは、聖が幼少期より「ネフローゼ」という腎臓の難病を 患っていたからである。彼は、常に死と隣り合わせで生きていたのだった。なぜ彼は、そこまでにも将棋という物への執着に命をかけたのか?これは、村山聖という一人の人生の物語ともいえる作品でもあります。

将棋を通じ、人生の楽しさや魂の輝きを表現してくれた作品でもあり、一人の人生物語でもありました。
実際の天才棋士で、難病を抱えながらも将棋へ魅了された、村山聖の熱く生きた証を、松山ケンイチが見事なまでに演じ切ってましたね。

将棋への圧倒的な熱さ、情熱の注ぎ方に観るものへ、生きることの大切さを教えて頂けるような作品でもありました。

将棋をしている以外は、少しチャーミングな部分と、将棋以外への関心のなさや
人間性にも、素晴らしい人格者だと思わせるシーンの数々には、笑わせてもらいました。

いざ、将棋モードになると表情が一変して、近寄りがたいオーラを出す...

何とも、人を惹き付ける魅力的な人ですね。

難病があるのを忘れさせられるくらいに...

天才、羽生善治との対局...
張りつめた空気感のなかなも、両者の燃えたぎる熱量が感じ取れました。

終盤の羽生善治と、食堂での対談...
頂点を極めた同士でしか解り合えない会話の数々には、心揺さぶられました

将棋という物を通じ、人間の暖かさ
人生の楽しさを教えて頂いた作品でした。

村山聖という一人の人生の壮大で、「生きること」に
これ程までの情熱と信念を貫き通し、短くて密度の濃い
人生を歩む彼の、生き様に共感して頂ければと感じて
います。

彼が、残した足跡とは一体なんだったのだろう?
答えは、分からないが一つだけ確かな事は言えるだろう
それは、日々生きることに感謝できる事の喜び。
そんな事を、将棋という世界を通じ感じた作品でもありました。