男はつらいよ 寅次郎純情詩集

男はつらいよ 寅次郎純情詩集のレビュー・評価・感想

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男はつらいよ 寅次郎純情詩集
10

切ない終わり

満男の先生が若い女の先生とわかると、さくらちゃんらそっちのけでお話しする寅さん。
全く邪魔な人です。そりゃあ、博さんが怒っても無理ないです。
おばちゃんらもなんとか寅さんを遠ざけようとするのに通じてないし、おバカだなあと思いました。
その後、その先生の母親が昔馴染みと知り、今度はその母親にお熱です。
母親は京マチ子さんなんだけど、寅さんより年上のマドンナで、珍しいです。
お嬢様で政略結婚させられて、その後病気したので、世間知らずで、ゆったりした感じの人で、感じの良い人でした。
とらやで、マチ子さんがお店を開くなら何屋がいいかと話し合うところがとてもおもしろかったです。
もう歳だし、店を始めるのに金もかかるからほんとは無理だろうけど、あの瞬間はマチ子さんもそれが実現できると夢を見ていたと思います。
寅さんは結構本気だったのかもしれません。
マチ子さんの病は重たいもので、寅さんの恋史上、一番つらい別れになってしまい、とても悲しかったです。
ああ、こんな切ない終わりもあるのかと思いました。
その後にさくらちゃんと寅さんが、マチ子さんのお店について話し合うところがまた切なくてよかったです。
最後、寅さんがマチ子さんの娘さんの学校を訪ねて終わり、最後の最後は寅さんらしい、明るい終わりでした。

男はつらいよ 寅次郎純情詩集
10

悲しい別れ

寅さんが、寅さんよりも年上の年齢的にはぴったりの人を好きになる話です。働いたことのないお嬢様だったヒロインの話をきちんと聞き、面白い話をして楽しませてとてもいい感じだったのですが、実は彼女は不治の病にかかっていてとても悲しい別れをします。寅さんはたしか、最初の方の作品で恩師とも死に別れていましたが、今回もとても悲しかったです。ヒロインのその女性が働いてみたいというので、とらやの面々でどんな仕事がいいか考える場面はとても素敵です。今まで働いたことのない妙齢の女性が働くのなんてとても厳しいと思いますが、そんなことおくびにも出さず、いろいろ意見を出し合っているとらやの面々は、ほんと皆さんいい人で優しい人だなあと思います。最後彼女が亡くなった後、寅さんが出て行く前、さくらちゃんに彼女にぴったりの仕事を見つけたという場面は泣けます。彼女が健康だったら、そうやって過ごしたのかなと思うと、彼女の死が残念でなりません。彼女の娘さんも母がなくなる前に、寅さん一家というとても楽しい家族と仲良くなれて、嬉しかったと思います。寅さんシリーズの中でも一番悲しい話ではありますが、いい話でもありました。もちろん、面白シーンもあるし、大満足の作品です。