終わる世界でキミに恋する / セカキミ

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終わる世界でキミに恋する / セカキミ
8

真摯な恋に泣ける感動作

他人に対して役に立つか、役に立たないかという判断基準でしか見ることができなかったレイが、優しい心を持つ岬に恋をしたことで、愛情を持つようになっていく過程に感動します。

レイは政治家の親を持つために、学園の中で権力を持ち、「魔王」と呼ばれて恐れられています。表情も狡猾で冷酷な印象で、レイの背景には黒い羽根が舞っているシーンもちらほら。しかし、岬を愛するようになると、その羽根は白く変わります。これは、悪魔的な暗い心が、天使のような優しい心に変わっていくことを象徴しているのでしょう。そんなレイの心の変化に胸を打たれます。

長らく傲慢な支配者でいたレイは、岬に対してどう言葉を言えばいいのかもわからず、ぶきらっぽうに見えてしまいますが、岬を気づかう手を優しく、その不器用さもいいなぁと思います。そんな言葉が少ないレイに対して、冷たくされていると勘違いしてしまう岬の気持ちもよくわかります。

病気を抱えている岬にとっても、レイと恋することが生きる希望になっていきます。余命が少ない病だけに、人に迷惑をかけてしまうことを気にする岬。初めはレイに対しても、素直に心を開いて頼れずにいました。しかし、レイの真摯な想いに動かされて変わっていきます。もしかしたらレイの想いは、初めのうちは支配欲だったのかもしれません。そして岬はそんなレイに反発して嫌っていました。しかし、二人が関わるうちにだんだんと変わっていく様子が感動的に描かれています。