懲役339年

懲役339年のレビュー・評価・感想

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懲役339年
9

生まれ変わりとは本当にあるのか、生きる意味とは何かを静かだが強烈に読者に問いかける作品。

罪人は生まれ変わっても生前の罪を引き継いで償わないといけない国で、大罪人「ハロー」が課された刑はなんと懲役339年。
当然、一生を牢獄で終えることになりますが、彼が死んだ後は、身体的特徴を受け継ぎ「生まれ変わり」と認定された赤子が連れて来られ、そのまま刑を継続させられる事となってしまいました。人々は当たり前に生まれ変わりを信じていて、この制度については全く疑っていません。ですが、とある刑務官が「新しいハロー」と日々接することにより、果たして生前の罪は生まれ変わっても償うべきなのかという事に疑問を抱きます。彼の疑問はやがて「ハロー」を取り巻く人々を巻き込み、何代もの「ハロー」を通して、この国の制度の闇を暴き始めます。
本作品は、決して上手な絵柄ではないのですが、不思議とキャラクターに魅力があります。そして強烈なタイトルはもちろん、重たいテーマにも関わらず、ストーリーは淡々とですが先の読めない展開なので、どんどん引き込まれていきます。
全4巻で綺麗にまとまっており、短すぎず長すぎず、数時間もあればサクッと読めてしまいます。
読んだ後の余韻や、生まれ変わりや哲学的なテーマがお好きな人にはとてもおすすめです。