ブルーアワーにぶっ飛ばす

ブルーアワーにぶっ飛ばす

『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(ブルーアワーにぶっとばす)とは、2019年の日本映画である。監督と脚本は箱田優子。主演は夏帆とシム・ウンギョン。第2回TSUTAYA CREATORS' PROGRAMで審査員特別賞を受賞した企画が映画化された。
物語は、東京に暮らす30歳のCMディレクター・砂田を描いている。多忙ながらも仕事は順調で、優しい夫にも恵まれて何不自由ない生活を送っているかのように見える彼女だったが、その心は完全に荒みきっていた。そんなある日、病気の祖母を見舞うため、大嫌いな故郷の茨城へ帰ることになった砂田は、自由奔放な先輩に連れられて帰省する道中で、封印してきた過去や本音と向き合っていくことになる。
本作はシム・ウンギョンにとって初となる日本映画出演作品であり、主演を務めた夏帆と共に第34回高崎映画祭で最優秀主演女優賞をダブル受賞したほか、上海国際映画祭アジア新人部門で最優秀監督賞を受賞するなど国内外で高く評価された。

ブルーアワーにぶっ飛ばすのレビュー・評価・感想

ブルーアワーにぶっ飛ばす
10

北関東出身者は涙ちょちょぎれ

女性CMディレクターの砂田(30歳)は東京でハードワークに明け暮れていた。業界の第一線で働き優しい夫もいて充実しているように見えるが、口を開けばキツイ言葉ばかり。そんなとき病気の祖母を見舞うため、親友の清浦とともに大嫌いな地元の茨城に帰ることになる…という内容。砂田が規制する茨城のスナックをはじめ、その北関東の「実家感」がリアル。バリバリ第一線の業界の現場との乖離ぶりが激しい。そんな中での祖母を含む家族とのやりとりは、地方出身者によってアルアルであり、ふと自分の家族や友人のことを思い出してしまう。北関東に限らず、地方出身者は誰もが故郷に近親憎悪を感じ、憎みながら愛しているから。この物語でキーとなるのは新湯の「清浦(きよ)」の不思議な存在。砂田と清浦は大親友で、そのやりとりも楽しい。鬱屈した砂田と大らかに田舎を楽しむ清浦は、非常に対象的に描かれている。実はそれもそのはず…清浦はいわば砂田が内緒にしていた「本当はそうなりたかった自分自身のようなもの」だから。清浦の「正体」については最後の最後で明かされるシーンがあるが、周りの何人かはそれを見ても意味がわからなかった模様。ヒントは前半の少女時代に清浦と遊ぶ砂田のシーンにある。まずは前知識なしにこの「名作」をご覧になるといいと思う。