ザ・クラッシュ

ザ・クラッシュのレビュー・評価・感想

ザ・クラッシュ
10

ロックを生き返らせた伝説のバンド

70年代にロックミュージックは高みに上り詰め、次第に高尚なものとなり形式化、また一方で大衆向けのビジネス化してその精神を失っていった。そこに登場したパンクムーブメントは、ロックを当初の原動力のまま若者が荒削りな形で率直に表現することでたくさんの支持を集めていった。クラッシュはパンクバンドの代表で、政治的なメッセージ性の高い歌詞はそのままに、暴力的な粗削りの演奏スタイルから徐々に多方面の音楽性を取り入れ、偉大な音楽の歴史そのものを若者に紹介していった。様式化、ビジネス化を頑なに拒み、音楽に純粋であろうと不屈に戦う姿とその作品はロックの歴史に大きく刻まれた。
~アルバム紹介~
一作目はパンクの衝動が籠もった作品でピストルズから受けた衝撃がそのまま伝わってくる。
二作目はよりレゲェ色、政治色を強めて完成度を増す。
三作目は名盤”ロンドン・コーリング”最先端の攻撃なパンクとロックの歴史を紹介するようなバリエーションに富んだ作品群がたっぷり詰まっている。ブルースとバラードとラブソングは相変わらず一曲もない。
四作目は彼らが最も自由に作った作品で圧巻の36曲入りの大作”サンディニスタ!”、リリース後は大混乱を巻き起こし、評価が固まってきたのは世紀も変わってジョー逝去後ではないだろうか。
五作目”コンバット・ロック”はあらゆる意味で彼らの集大成で完成形となる楽曲が濃密に詰まった作品で全米でヒットした。そしてこのアルバム発表と時を同じくしてバンドは瓦解。ここまでほぼ5年間休みなしで突っ走った彼らの軌跡を一度に追うことはなかなか大変だけど、5枚目は万人におすすめでき、3枚目は言うまでもなくロックの名盤、パンク好きなら一枚目、二枚目、クラッシュのマニアなら4枚目に存分に浸ってほしい。このバンドはまさに時代をつくりながら駆け抜けたと言えるだろう。
~メンバー~
ジョー・ストラマー リードVo ”我らの等身大のヒーロー” 作詞担当
ミック・ジョーンズ ギター&Vo ”生かしたメロディと甘い声” 作曲担当
ポール・シムノン ベース ”プリミティブなベースライン” 写真モデル担当
トッパー・ヒ−ドン ドラムス ”多才な人間リズムマシーン”

もっとも地味で大人しかったトッパーが単独で仕上げた曲が最大のヒットになった”ロック・ザ・カスバ”となったが、ヒットした際には彼はすでにバンドを首になっていた。もしバンドが少しの休みを経て活動を続けていたらどうなっていただろうか?堕落したかも知れないし、より偉大になったかも知れない。我々にわかるのは少なくとも時代を代表するロックバンドとして六〇年代を作ったビートルズ、七〇年代のレッド・ツェッペリン、九〇年代のオアシスなど共に、混沌の八〇年代の中で名前をあげるなら最前列に”ザ・クラッシュ”の名前が挙げられるということだけである。
時代を代表するロックバンドとして色褪せない本物だけが持つ精神を感じてたいなら、色褪せない曲に熱くマイブームを起こしてみてはいかがだろうか?