エア彼

エア彼のレビュー・評価・感想

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エア彼
8

ビックリするほど自虐的な美女のピュアなラブコメ

園城寺・リア・不二子は大阪にある田舎の宅食で働いていたのですが、あるときその宅食が東京の企業に買収されることとなります。そしてリアと同僚で友人の京ちゃんの二人は上京して、その企業で働くこととなりますが、リアは入社早々、失敗の連続。これは、リアの見た目と内面があまりにも違うことから引き起こされてしまったことなのですが、周りも本人もそのことに気づきません。リアはモデルのような長身のハーフ美女で派手な見た目に相反するように、内気で自分に自信のない、自虐的な性格だったのです。

タイトルの「エア彼」とは、リアの空想上の彼氏のことで、自分が男性に相手にされるわけないと思い込んでいるリアは、優しい理想の彼氏を脳内につくり、寂しさを紛らわせていました。

しかし、そこにリア達の勤める会社の社長が、現実世界の男性として登場します。イケメンで女性関係も華やかな社長ですが、リアの前では純粋な仕事への思いを語るなどして、人柄の良さが伺えます。

美しい容姿に関わらず、自分が綺麗だとはまったく気づかず、謙虚でピュアなリアは応援したくなるキャラクターです。空想上の彼氏をつくることしかできなかったリアが、現実の男性と接していくうちに、少しずつ心を開きはじめ、仕事も奮闘し、成長していきます。二人の恋はなかなか一筋縄ではいきませんが、社会人として働く大人同士がする純粋な恋愛は感動的です。しかし、決して重たくはなくコメディータッチで描かれているので、楽しく読むことができます。

エア彼
9

笑いあり感動ありで前向きになれるラブコメ漫画

自分の脳内だけに存在する恋人、「エア彼」を持つ主人公の園城寺・リア・不二子。ハーフの長身美女なのですが、内気で自虐的な性格で自分に自信が持てません。そんなリアは30歳を目前にしても現実の男性とは恋愛できずに、エア彼のツトム君と親友の京ちゃんだけを心の頼りにしています。

思わず笑ってしまう設定ですが、脳内彼氏のエア彼を作った経験のある女性は意外に多く、これは漫画の中のリアだけに限ったことではないようです。庶民的な目線で読者の共感を呼ぶ作品を描いてきた作者の大久保ヒロミが設定したこの漫画テーマも、リアと同世代の女性が感じる身近なものとなっています。

ときには慰め励まし、ときには疑問を投げかけて正しい方向へと導いてくれるエア彼のツトム君は、リアにとって完璧な理想の存在です。リア自身が作った人格なのだからそれは当たり前なのですが、それに対抗するのが現実の世界に存在するリアと京ちゃんが勤務する会社の社長です。社長の存在によって、内気なリアが現実の社会で奮闘するようになっていきます。そこにはドタバタなコメディーが展開されていてとても面白いのですが、漫画の中のリアを応援したいと思う気持ちと同時に、自分も頑張りたいと思えるような気持ちになれる良い作品です。勇気を出したいとき、自分の殻を破りたいときにオススメです。