陰陽座

陰陽座のレビュー・評価・感想

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陰陽座
10

日本語の繊細さを音楽という形で教えてくれる唯一無二

陰陽座は黒猫(くろねこ・ボーカル)、瞬火(またたび・ボーカル・ベース)、招鬼(まねき・ギター・コーラス)、狩姦(かるかん・ギター・コーラス)の4人組のヘヴィメタルバンドです。ヘヴィメタルというと苦手な人はとっつきにくい印象も受けるかと思いますが、タイアップ曲や、アルバムに1曲は収録されているバラード曲などは初見の方でも聞きやすいと思います。もちろんヘヴィメタルやデスメタル好きな方達も気持ちよく聞けるような楽曲が豊富にあります。
また、タイトルにもあるように、古典日本語を駆使した作詞作りに終始しており、また、『妖怪』をモチーフとした楽曲が多いため、言い回しや漢字の読みなども、妖怪の存在が今よりも信じられていた平安・鎌倉・江戸の時代のような雰囲気になっています。メンバーたちも、MVやライブでは世界観を大事にしており、常に狩衣や袴などの和装でプレイしています。
ボーカルの黒猫はヘヴィメタル界隈ではめずらしい女性ボーカルで、ファンの間では『ゆりかごから墓場まで』と称される幅広い表現手法を用いており、ゴリゴリのメタルでも、しっとりとした切ないバラードでも歌いこなす実力者です。
また、ベース兼ボーカルの瞬火も、色気のある男の歌声を聴かせてくれるかと思いきや、シャウトや、男三人でのデスボイスのコーラスでも迫力を感じさせてくれます。
もちろんバンドそのものもレベルが高く、唸るような歪みが特徴的な招鬼のギター、対照的に、速弾きを得意とするテクニカルな狩姦のギター。2人の追い詰めてくるようなギターラッシュはヘヴィメタル好きには堪らないものがあります。
そんな迫力のある演奏を奏でる4人ですが、ライブではお茶目な面を見せる瞬火や、『歌のおねえさん』と称される黒猫のトークも魅力の一つです。
youtubeに彼らのチャンネルがあるので、ぜひ聴いてみてください。MVも豊富にあるので、その独特な世界観を堪能できるかと思います。