童貞文豪

童貞文豪のレビュー・評価・感想

New Review
童貞文豪
5

駒誠のモノローグとナレーションがツボの「童貞文豪」

人によってはタイトルがパワーワードに思えてしまう「童貞文豪」はウェブコミック配信サイト「GANMA!」で2018年8月15日から毎週水曜日に更新されているマンガ作品です。自社に属するグループに出版社がなく、掲載作品の単行本を出すことが比較的少ないGANMA!としては珍しく、29話まで連載された時点の2019年3月5日にKADOKAWAで単行本1巻が刊行されました。ジャンル的には日常系・ギャグ系に分類されている作品で、大正時代の架空の男性小説家と周辺人物たちの日常を描いる割に、ノリが海外コメディドラマっぽいマンガです。

主人公の駒形誠士郎(各話タイトルでの通称は駒誠)は女にモテるために小説家の安宅川に弟子入りし、自分をモデルにしながらも徹底的に美化して執筆した処女作「暁光」がヒットして25歳でベストセラー作家となったものの、日頃から理想の自分を妄想しながら小説を書いているが故の大言壮語な言動や運の悪さもあって、世間の印象に反して彼女がおらず、世間や周辺の印象を気にして童貞を隠している、こと男女関係に関しては意識高い系である小説家です。

本作は駒誠が女性と関わるも結局男女関係にはならない話か、駒誠と好青年の書生・小太郎や兄弟子で特殊趣味の傾向がある潤平、同世代の童貞小説家・白峰などとの日常コメディの2パターンとなっています。

この作品のツボは駒形誠士郎の「おっぱいが書けない!」「童貞なめるなよ、この童貞め」といった迷言モノローグもさることながら、自然主義文学作家を「現代版ユー○ューバー」、駒誠の掲げる理想主義文学を「転生系無双系ラノベ」と表現してしまう作中のナレーションと言っていいかも知れません。また、リアリティーがあって生々しい下ネタ発言しているのにエグさや嫌な感じがないという主旨のGANMA!での読者コメントが出てくる作風も本作の良さと言っていいでしょう。