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りりかセンセーション
「ナースエンジェルりりかSOS」第1話が記憶に新しい人も多いだろう。オタクでない人にこの素晴らしさを伝えるのは実は難しいのだが、最も言葉を尽くして、「さまざまな波乱を予感させる第1話だった」と形容するしかないだろう。「りりか」は大地丙太郎監督の出世作であり、これ以後、アニメ界に大地ありと、スタッフとファンを納得させた作品なのである。
「りりか」を観ていてまず気づくのは、主人公りりかが、戦闘の時決して笑わないことである。第2期のエンディングは「笑顔を忘れない」という題名だが、実はナースエンジェルは戦う時に笑わない。戦闘シーンが極めてシリアスなのである。同時期に放映されていた「セーラームーン」では戦闘シーンがおちゃらけているのと好対照である。これはおそらく、演出が男性ファンを意識したせいだと思う。ほのぼのした女児向けの戦闘よりも、男性ファンを魅了するハードな戦闘を選択したのだろう。
クイーンアースから地球に潜入し、ナースエンジェルであるりりかを見出したカノンは、次の言葉を繰り返す。「悪を憎む勇気。人を愛する心」後者はいいとして、前者の勇気をわたしたちはともすれば忘れてしまいがちになる。日本人は政府のどのような不正にも黙って耐え、声を荒げることもない。だがこれは美徳ではなく、勇気を失っているだけではないだろうか。
カノンの言葉をわたしたち日本人はもう一度よく咀嚼する必要があるだろう。