BEYOND THE MAT / ビヨンド・ザ・マット

BEYOND THE MAT / ビヨンド・ザ・マットのレビュー・評価・感想

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BEYOND THE MAT / ビヨンド・ザ・マット
10

プロレスに対する見方が変わる

アメリカのプロレス団体と、その関係者たちの人生をせきららにありのままにうつした伝説的なドキュメンタリー映画です。
本作の大ヒットが影響で、日本のプロレス世界も変貌したことは有名でありますが本作の内容は極めてセンシティブな物になっております。
まず、自分の中でのプロレスラーの印象が大きく変わりました。
彼らは自分たちは格闘技ではないということを理解しており、ファンも理解しているというものでした。
当時、プロレスに詳しくなかった自分としては目からうろこが落ちるような世界でした。
ファンも製作者もプロレスはショーであり、自分たちは格闘家ではないことをわかっていながらもそれでも観客を喜ばせるために画鋲まみれになったり、4mの高さから落ちたり、家族のまえで激しい暴行を受けるという恥辱を浴びたりしなければなりません。
しかし、それでも彼らは家族のため名誉のために立ち上がり技を受け病院に入院するということになっても決してプロレスをやめようとしないのでした。
なぜ、そこまでボロボロになっても彼らは体をつぶすようなことをするのか、僕はそこにある種宗教的な物を感じて匿名掲示板で書かれていたプロレスは宗教であるという言葉が真実であったことを確認しました。
また劇中にはかつて大物だったけど、それがゆえに私生活がボロボロになったというレスラーがでてくるのですがこれが涙を禁じ得ない悲しい人生を歩んでいるのが特徴的でした。
僕は彼らのためにも茶番や八百長を揶揄する言葉で「プロレス」を使えなくなりました。
たとえガチではなくてもそこにはドラマがある。
そのドラマこそプロレスなのだと、思います。