HALLCA / ハルカ

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HALLCA アルバム『PARADISE GATE』

2021年11月24日にシンガーソングライターHALLCA(ex.Especia)の2年ぶりとなるオリジナルアルバム『PARADAISE GATE』がリリースされた。

2019年9月にリリースされた前作『VILLA』以降、高校の同級生でシンガーのkiarayuiとの共作をはじめ、yucaやwaiaiとのコラボシングルリリース、Tsudio Studio楽曲へのゲストボーカル参加、新始動した仮屋せいら、AmamiyaMaakoとの音楽ユニット「はるかりまあこ」としてのEPリリースなどフィーチャリングを中心に精力的に活動しており、順調にキャリアを積み重ねているように映っていたが、2020年以降のコロナ禍では思い通りにアルバム制作が進んでいたわけではなかったようで、予定より1年ほど遅れてのリリースになったそうだ。

そのようなアクシデントはありつつもYouTubeライブでファンとの交流を深めるなど、苦難を乗り越えてのアルバムとなった今作だが、楽曲面は前作と変わらずPelly Colo、Rillsoul(Blackstone Village)、東新レゾナントら鉄壁のアレンジャー陣が担当。VaporwaveやFuturefunkといったEspecia時代の流れを引き継ぎつつ、さらにメロウで都会的なシンセポップサウンドに接近している。

シングルカットもされたリード曲『Precious Flight』は高中正義チックなギターによるイントロがアルバムへの期待を煽るギターフュージョン。軽やかなシンセのリズムが飛行機の滑空を想起させる楽曲になっている。
東新レゾナントによる2曲目、タイトル曲の跳ね系ニュージャックスイング『Paradise Gate』はEspecia楽曲の雰囲気にも通底したパワフルな楽曲。
5曲目『Spiral』はこちらも東新レゾナントによるもの。これまでのアルバムの流れから目線を大きく変えさせる分厚く重ねられたホーンがゴージャスでグルーヴ感満点のジャズファンクになっている。
8曲目のFall Back AsleepはBlackstone Villageによる柔らかくドリーミーなシンセサウンドに揺蕩うフローティングシンセポップ。HALLCAの涼しげな声質が生きるサウンドになっている。

Paradiseへと向かうフライト中に聴く音楽のような、しつこすぎない空気感が大人の余裕を感じさせるアルバム。HALLCAがどんな活躍を見せるのか今後期待したい。