オリオリスープ

オリオリスープのレビュー・評価・感想

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オリオリスープ
7

あったかい『スープ』のおはなし

主人公は本の装丁デザイナーの原田織ヱ、だいぶひどい天然だけどセンスががあって朗らかで、明るい彼女。
そんな彼女は『スープ』が大好き。締め切り前でみんながイライラしてる会社の給湯室でスープ作りを始めてしまうほど。
絵はとびきり綺麗ではないけれど、どこかファンタジーで子どもの頃の小説に出てきた見知らぬ食物を想像してたことを思い出せてくれる。
出てくる食べ物を見た目でおいしそう、と感じさせるよりキャラクターの仕草や説明で食べてみたい、と思わせる作り。
料理を食べても服は脱げないし、訳のわからない大ゴマ絶頂シーンも入らない。勝敗も決まらないし争いも収まらない。
それでもあたたかなスープが救いになる。生きていくために必要なものを注がれるような、そんな気持ちになれる漫画。
なにより一番いいのは『再現』が簡単なところ。具材を入れて、ことこと煮込んでできあがり。時々難しいレシピもあるけれど、基本的には簡単で手間のかからないあったかい料理ばかり。
料理漫画を見て、その味に思いを馳せて、レシピを調べて本を投げてしまう。食べに行きたいのにお店が近くになくて食べられない。そんなもどかしい思いもなく、漫画を読んでいてお腹がすいたら適当に真似をして鍋に具材を放り込んで、そうしてできたスープを口に入れる。
読むとスープが食べたくなる、お話も料理も、おなかの中からあたたかくなるような漫画。