崎山蒼志

崎山蒼志(さきやま そうし)とは、日本のシンガーソングライター・ギタリスト。2002年生まれ。静岡県浜松市出身。
2018年にバラエティ番組『バラエティ開拓バラエティ 日村がゆく』に出演したことがきっかけで、世間や著名なアーティストからの注目を浴びる。
2021年1月27日にアルバム『find fuse in youth』でメジャーデビューを果たした。同年には『賭ケグルイ』『僕のヒーローアカデミア』『夏、至るところ』など、さまざまな作品の主題歌を担当。
そのギターテクニックが高く評価され、2021年10月から『ギター・マガジン』にて連載『崎山蒼志の未知との遭遇』を開始。また、歌詞における繊細で文学的な表現も魅力の1つで、『別冊文藝春秋』にてエッセイ『十歳、食べられなかった私の話』が掲載された経験を持つ。
2022年2月2日にメジャー2枚目のアルバム『Face To Time Case』を発売。同年4月27日には新曲『A song』を発表、東名阪を回るツアー『Face To Time Case』を開催するなど、精力的に活動している。

崎山蒼志のレビュー・評価・感想

崎山蒼志
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ギターの音圧、歌詞のセンス

崎山蒼志くんの最大の魅力。それは、ギターの技術力の高さだと思います。各サイトで配信されている音源でもその技術の高さは勿論よく分かるのですが、ライブなど、生演奏での彼のギターは圧巻です。本当に1本のギターから全ての音が出ているのか疑ってしまう程に音に厚みがあるんです。一度聴いてみたら、きっと病みつきになります。聴いていて、身体にビシバシひとつひとつの音の振動が伝わってくるような感覚が味わえるので、是非聴いてみてほしいです。
また、歌詞にも彼の魅力がふんだんに詰まっています。崎山くん自身が作詞もしているのですが、彼の言葉選びはどこか寂しげで、それでいて聴いている人の心の柔らかい部分に寄り添ってくれるような、そんな言葉を紡いでくれます。特に、歌詞が文章ではなく、短い言葉をいくつも繋ぎ合わせて言葉の羅列のようになっている部分が時々あるのですが、そういう、音楽と言葉の相乗効果で曲を盛り上げていくのが彼は非常に巧みで、息をつくのも忘れ、胸を鷲掴みにされながら聴き入ってしまうこと間違いなしです。
楽曲では言葉巧みな彼ですが、普段は喋ることが苦手そうで、MCでも緊張しているのか、たどたどしいながらも一生懸命に話してくれます。
そんな表情豊かで魅力的な崎山蒼志くん。これからの活躍にも目が離せません。

崎山蒼志
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崎山蒼志さんに関するレビュー

今回僕が紹介したいアーティストは、崎山蒼志さんです。
4歳よりギターをはじめ、小学6年生から作曲を始めた彼は、数年のストリートミュージシャン生活を送りました。
その後、2018年にAbemaTVにて放送された「日村がゆく」での「高校生フォークソングGP」では、参加者最年少ながらなんと第三回グランプリを獲得しています。
それ以来、徐々に人気アーティストとしての頭角を表し始めており、間違いなく次世代の音楽界を牽引していくアーティストの一人になっていくことでしょう。

彼の書いた曲の中でおすすめの曲を一つ紹介するのであれば、2017年にリリースされた『夏至』あたりがいいかなと思います。
ここでは、この曲の持つ魅力を少しだけ、ワンコーラス目の歌詞を交えつつ、紹介させていただきたいと思います。
『夏至』はギターサウンドと歌声、それに文字のみの簡素なMVによって構成された名曲です。
下記は、その冒頭の歌詞です。

かなり前の 自分の中を透かしてみた
新しい空気を 吸った僕だ
夢の中で 牙を向いたあの人の顔 まだ覚えてる

夏至という曲は、このように、過去を回想していくような冒頭から始まります。
過去に負った傷を忘れることができないまま、現実の自分と対峙するような歌詞からは逃れることのできない切なさのようなものを感じます。
初めてこの曲を聞いたとき、僕はもうこの地点で、この人の持つ独特な歌唱スタイルの虜になってしまいました。

続く1コーラス目のサビの歌詞は以下です。

そうだ 思い出した
あの夏に 取り残されて 何年たったか
虫のように強く 果物のように美しい
君がいた 100年前だ

そして、過去にとらわれている自分を、俯瞰するかのような歌詞へと続きます。
懐かしい夏の景色を思い出させてくれる歌詞ですが、彼の意識は一体どこに存在しているのでしょうか。
過去から100年後の今を見ているのか、今から100年前の過去を見ているのか、曖昧な表現が受け取り手の想像力を掻き立てます。
また、虫を「弱い」ではなく「強い」、果物を「甘い」ではなく「美しい」と表現しているところも彼の感性の豊かさを物語っています。

これで、ワンコーラス目はおしまいです。此処から先は、ご自身の耳で実際にお聞きになってみてください。

【人生何周目?】
「君がいた 100年前だ」や、この先の展開にて登場する「手遅れだった」という歌詞から、この楽曲の主人公は命日を控えた老人であることが推測出来るのですが、この曲の投稿時の彼の年齢はなんと弱冠15歳なんです。
これだけでもわかる通り、彼の作品は、その年齢の若さからは想像がつかないほど大人びた雰囲気を持っています。
僕は初めてこの曲を聞いたとき「弱冠15歳の少年が、何故このようなテーマで曲を書いてみようと思ったのか理解ができないw」と、あまりの大人っぽさに思わず笑ってしまいました。
この年齢を超越した曲の雰囲気に、ファンの方からは、「人生何周目?」などのコメントが上がることは珍しくありません。
ちなみにこの曲の最後の歌詞は「血反吐をはく」です(崎山蒼志という名前もこれまた風情ですよね)。

どうだったでしょうか。
なるべく知識のない状態でこの曲を聞いてみてほしいという思いから、紹介したのは楽曲のワンコーラス目のみになってしまいましたが、彼の書く楽曲の魅力が僅かにでも伝わったでしょうか?

もし伝わったのであれば、彼のファンの一人として、それ以上に嬉しいことはありません。
気になった方は是非他の曲もどんどん聞いてみてほしいなと思います。

ちなみにこれは余談ですが、彼は自転車に乗れないという、大人びた一面からは想像もつかないようなかわいい一面を持っています。
「リズムに乗れても、自転車には乗れない男」というキャッチフレーズは、もはや彼の代名詞になりつつあります。