悪役令嬢転生おじさん

悪役令嬢転生おじさんのレビュー・評価・感想

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悪役令嬢転生おじさん
7

悪役令嬢の中身は52歳のオジサン公務員!!

なろう小説の中でも転生モノと言われるジャンルは一定の支持を受け、多くの作品がアニメ化などを果たしている一大ジャンルである。
こちらの世界で暮らしていた人間が異世界やゲームの世界に転生することで特別な存在となる展開が多いが、中でも転生先として多く選ばれるのが、「悪役令嬢」と呼ばれる、物語の中で乙女ゲーの主人公を陥れる役回りの存在である。
アニメ化も成功している『はめふら(破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった)』では、主人公が自分の攻略していた乙女ゲーの悪役令嬢カタリナ・クラエスに転生してしまい、破滅フラグを回避しようとした結果、攻略対象の男キャラのみならず出てくる主要キャラからほぼ矢印を向けられるということになってしまうが、今回紹介する作品もそんな悪役令嬢モノの例に漏れない。ただしこの作品が違う点は、令嬢の中身がちょっとオタクなオジサン(妻子持ち)という点である。
ちょっと真面目なオジサンこと屯田林憲三郎は、交通事故に遭ったことで娘が攻略していた乙女ゲーの世界へと転生してしまうのだが、ここまでは転生モノでもよくある導入だ。
しかしこの作品、何が違うかと言えば主人公がオジサンであるという一点に尽きる。このオジサン、物語が始まると早々に自分が異世界に転生したことを理解し、「乙女ゲーの中に転生してしまったのなら自分は悪役令嬢として役を全うしなければいけない」と行動を起こすが、まずオジサンであるが故に攻略対象である男キャラの名前を一気に覚えることができない(横文字であるため)。その点を持ち前の話術で対応したり、また、公務員として培ってきた計算スキルで攻略対象の好感度を爆上げしたりなど、オジサンが悪役令嬢の役に真面目に取り組む様がとても微笑ましいわけである。

本作には劇的な展開やスカッとする描写は無いが、「何かクスリと笑える漫画が読みたい」という方には是非お勧めしたい作品である。