宮下遊

宮下遊のレビュー・評価・感想

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宮下遊
9

知られざる唯一無二の歌い手

宮下遊は、ボカロ曲のカバー、いわゆる「歌ってみた」を投稿している歌い手で、2016年にメジャーデビューも果たしている。彼の評価ポイントは以下の4つだ。

1.声色
一つの曲の中で、同一人物とは思えない様々な声色を使い分けるのが彼の特徴だ。男性ならではの低音域はもちろん、まるで女性のような高音や少年のように軽やかな声色を織り交ぜている。

2.選曲センス
彼はもはや“自動名曲発掘機”と呼んでも過言ではないくらい曲選びに長けている。誰も聞いたことのないような曲を選んできて、後からその楽曲が有名になることもしばしばだ。

3.何度でも楽しめる
世の中には「ガム曲」と「スルメ曲」といわれる曲がある。前者はまるでガムのように始めは味が濃いが噛むほどに味わいがなくなる曲、後者は逆にスルメのように最初は味が無いが噛むほどに味わいが出る曲のことを言う。彼の作品は間違いなく「スルメ曲」に分類される。例えば、イヤホンをつけるとまるで別の曲だ。小さな囁きやコーラスまで聞こえるようになり、一曲で二度楽しめるのだ。

4.アレンジによる化学反応
彼の真価は実はここからである。彼の魅力は、原曲と比較してより浮き彫りになる。他の歌い手と違うのは、曲をベースにして自分をアピールしないところだ。曲を上から塗りつぶすのではなく、曲と繊細に調和する。まるで彼が歌うことで初めて曲が完成されたように、丁寧に曲をグレードアップさせている。

宮下遊の動画を、ぜひ一度ご覧になってみてはいかがだろうか。