ロボ好きの下克上
ソフト会社の凄腕プログラマーの倉田さん。彼の趣味はロボットのプラモデルを作ること。そんな倉田さんが、交通事故で亡くなってしまい、異世界に転生するんだけどで始まるお話です。
彼は、エルネスティ・エチェバルリアという男の子に転生しますが、ある日魔獣に襲われたところをシルエットナイトと呼ばれるロボットに助けられたことから前世の記憶が蘇り、元々ロボットが大好きだった彼はシルエットナイトに乗ることを夢見て、その日から魔法に剣にと猛勉強を始めます。
異世界の雰囲気は王政政治の中世という感じで、騎士団などもありますが、騎士たちは馬の代わりにシルエットナイトに乗って戦います。すごいロボットを開発できる技術力があるのに、なぜか移動は馬車だったり、文明の程度がちぐはぐな感じに思えました。
“なろう原作”みたいですし“俺Tueeee系”ではあるのですが、主人公のエルネスティがすごくロボットが大好きでロボット愛に溢れている感じで、「自分のロボットを作れるためなら地位も名誉も何もいらないし、そのためならどんな努力も厭わない」というような姿が面白いと感じました。まるで本好きのマインみたいです。
彼のプログラマーとしての才能が魔法の術式にも応用できたことと、小さい頃からの鍛錬の成果もあって着々と功績を積んでいき、ついに国王から、待望のシルエットナイト開発を目的とした騎士団「銀鳳騎士団」の団長に任じられます。周りのキャラたちもアーキッド、アディ兄妹やエドガー、ディートリヒ、ヘルヴィなどの銀鳳騎士団員たちやドワーフたち、そして国王や王子・王女など、それぞれのキャラが立っていたところも良かったです。
最初の戦いで怖くて逃げ出したディートリヒが成長して敵に怯まずに向かうようになったり、最初はオロオロしていたクシェペルカ王国の王女エレオノーラがアーキッドの助けもあって女王として堂々と振舞うようになったり、そういうエピソードが物語に深みを与えていると感じました。