ウマ娘 シンデレラグレイ

ウマ娘 シンデレラグレイ

『ウマ娘 シンデレラグレイ』とは、競走馬を擬人化したメディアミックス『ウマ娘 プリティダービー』を原作とした、久住太陽(漫画)、杉浦理史(脚本)、伊藤隼之介(企画構成)による日本の漫画作品である。略称は「シングレ」。
主人公は寂れたカサマツにあるトレーニングセンター学園から突如現れた現れた稀代の逸材・オグリキャップ。彼女が様々な個性豊かな仲間やライバル達と切磋琢磨し、日本一のウマ娘を目指していくストーリー。
本作の主人公および登場人物、そしてストーリーは、実在した名馬達の物語をベースにしている。
『週刊ヤングジャンプ』にて2020年から連載され、「2021年上半期コミック第1巻売上ランキング」で第1位、「次にくるマンガ大賞2021」第2位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2022」第7位を受賞。累計発行部数は400万部を突破。スピンオフながらも、熱くシリアスなストーリーは元ネタである競馬や「ウマ娘」を知らない読者からも支持を得ている。

ウマ娘 シンデレラグレイのレビュー・評価・感想

ウマ娘 シンデレラグレイ
8

実在競走馬が擬人化でよみがえる。競馬漫画の「フィールド・オブ・ドリームス」

擬人化(美少女化)された実在の競走馬たちを育成して勝利を目指すアプリゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』。ゲームのサービスインに先駆けて2018年には1998年のダービー馬「スペシャルウィーク」を主人公としたTVアニメが放映されましたが、本作はさらに時代をさかのぼって、昭和の終わりから平成初期にかけて活躍、それまで競馬に興味を持たなかった若い女性たちも巻き込んで一大ムーブメントを巻き起こしたアイドルホース「オグリキャップ」を主人公に据えた完全新作シリーズとなります。
競走馬の擬人化?しかも、美少女化?と聞いて、抵抗を覚える方も少なからずおられるかと思います。しかし、ひとたび骨太に作りこまれた、熱血スポ今マンガの王道を行くストーリーと作画を目にすれば、その世界観に引き込まれることは間違いなしです。また、本作は史実をモデルに採っているため、物語の端々、それこそ小さなコマの隅に描かれたなんでもなさそうな描写に至るまで史実ネタの要素がちりばめられており、それをひとつひとつ探してみるというマニアックな楽しみ方も可能です。既にそういった楽しみ方をして、積極的に考察を発信する読者も多いので、実際の競馬のこと、史実のオグリキャップの時代の事をよく知らなくても、その深い世界観に入り込み、味わうことが可能です。

ウマ娘 シンデレラグレイ
8

ウマ娘の走りを刮目せよ!

「ウマ娘」とは、別世界に存在する名馬の名前と魂を受け継ぐ少女たちのことです。彼女たちには馬のような耳と尾があり、およそ時速70kmに達する超人的な脚力を持つ神秘的な存在ですが、それ以外は普通の女の子です。主人公のモデルは、伝説との呼び声が高いオグリキャップ。物語の舞台は、競争ウマ娘を育成する教育機関のひとつ、地方のカサマツトレセン学園。トレーナーの北原は新入生のオグリキャップの柔らかくも圧倒的な走りに魅了され、オグリキャップをスカウトします。北原とともに地方から中央の舞台を目指し、チームメイトやライバルと切磋琢磨しながらトップ競争ウマ娘への道を駆け上がっていく、という王道的なストーリーです。Cygamesの育成ゲームアプリをベースにした今作は、実在する地方競馬を舞台に描かれています。主人公のオグリキャップは、外見は美少女ですが言葉数は少ないながらも背中で語るタイプで、文句も言わず黙々と努力を重ねます。そんな健気な姿にファンは勇気と感動をもらえます。これは実際のオグリキャップの活躍を完全に擬人化した形で描かれており、作者の尋常ではない意気込みを感じます。競馬に興味が無い人でも引き込まれる魅力的なストーリーだと思います。タマモクロス、スーパークリークといったライバルキャラクターも登場し、史実に沿った展開も待ち受けています。ウマ娘という奇をてらったような題材ながらも、実際は熱いスポ根的な要素が満載の話題作です!