うみべの女の子 / A Girl on the Shore

うみべの女の子 / A Girl on the Shore

『うみべの女の子』とは、『マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)にて2009年から2013年にかけて連載された浅野いにおによる成人向け恋愛漫画作品である。本作は、田舎で暮らす中学生たちの性や葛藤を描いている。憧れの先輩にフラれた中学2年生の女の子・小梅は、その腹いせに同級生・磯辺と初体験を済ませてしまう。はじめは自分に好意を抱いている磯辺を利用していた小梅だったが、1枚の写真をきっかけに2人の立場は逆転していく。

うみべの女の子 / A Girl on the Shoreのレビュー・評価・感想

うみべの女の子 / A Girl on the Shore
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思春期の男女の感情および関係の重さ、互いの関係の都合のよさについてリアルに描かれている恋愛マンガ。

誰しもが通る思春期。体や心の変化が徐々に表れ始め、異性への見方の自覚、そして性欲を覚え始める中学生の男女を題材とした作品です。
主人公男女の関係はいわゆる”セフレ”。もともと主人公男(磯部)が主人公女(小梅)に振られたという背景がある。
小梅は好意を抱いた先輩にフェラを強要され、その後の屈辱から磯部と体の関係を持ち始めるようになる。始めは小梅が行為に対して躊躇する場面ではほとんどの女子が経験する初行為での緊張感や恥ずかしさ、初めて男と接触をする生々しい感情がひしひしと現れているが、磯部が小梅をただの女(ひどい言い方をすればヤらせてくれる女)としか見ていない。そこにリアルで生々しく眼をそむけたくなるような漫画の魅力があふれている。
徐々に男は性欲処理の相手として、女は寂しさを紛らわす相手として互いに依存を始める。
学校では他人のふりをしていたいという現実でもありがちな情景と、二人きりになると恥ずかしさがありながらも結局は行為に至ってしまうなど、かなり現実的な男女を描いているといえるでしょう。

最後まで読んだ感想としては、身勝手で生々しい性と男女の心の距離感について描いたリアルな青春の形を描いた漫画である。という言葉で表させていただきます。