野望の王国

野望の王国

『野望の王国』(やぼうのおうこく)とは、原作・雁屋哲、作画・由起賢二による日本の劇画漫画である。日本文芸社の『週刊漫画ゴラク』にて1977年から1982年まで連載された。
本作は、暴力によって日本を完全に制覇するという凄まじい野望を抱いた二人の青年の姿を描いたバイオレンス・ピカレスクロマンである。独特な劇画調の絵柄やエキセントリックな表現、度を越したバイオレンス描写が特徴であり、相原コージの『サルでも描けるまんが教室』の画風の元ネタや、漫画評論家の呉智英が定義する「馬鹿(バロック)漫画」の代表格としても知られている。原作者の雁屋が過去に手掛けた『男組』とは異なり、理想社会の実現といったテーマは一切排除されており、登場人物のほとんどが権力を追い求める悪人という徹底したピカレスク世界が構築され、劇画ブーム終焉期を飾る記念碑的作品となった。
物語の主人公は、東大法学部を優秀な成績で卒業し、大学フットボール界でも輝かしい実績を残した橘征五郎と片岡仁の二人。将来を嘱望されていた彼らだったが、卒業後は官公庁や一流企業への就職を選ばず、自らの「野望」を達成するために社会へ出ることを宣言する。そんな中、征五郎の父親であり、神奈川県随一の勢力を誇る暴力団「橘組」の組長・橘征蔵の訃報が届く。跡目争いを経て組長に就任した征五郎の兄・征二郎の補佐として、征五郎と片岡はあらゆる権謀術数を駆使しながら裏社会の掌握へと動き出す。しかし、彼らの前には冷徹な野心を持つ若手警察官僚の柿崎憲や、謎の新興宗教団体を率いる白川天星といった強烈なライバルたちが立ちはだかり、ヤクザ、警察、宗教組織、さらには軍隊までが入り乱れる壮絶な抗争へと発展していく。その過程で、征五郎は強大な兄・征二郎を倒さなければならない宿命と兄への愛の狭間で葛藤し、片岡もまた征五郎の妹・文子との恋に苦悩しながら、日本の暴力機構の頂点を目指す血塗られた戦いに身を投じていく。

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