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ZAZは現代のシャンソンを歌う
ZAZを一躍有名にしたのは、『Éblouie Par La Nuit』という曲です。小さなヨーロピアン」と自身と仲間を称するこの歌は、フランスをはじめ、ヨーロッパでヒットしました。ハスキーな歌声と音域の広さと声の迫力は、第二のエディット・ピアフと言われたほどです。しかし本人は、「自分のベースはパンクロックにある」、とインタビューで語っています。その名の通り、魂を揺さぶるような歌声とパフォーマンスで、フランスをはじめ、世界でコアなファンを獲得しています。私が印象に残っているのは、パリを舞台にした歌ばかりを集めたアルバムです。世界の人が期待するパリの雰囲気を醸し出しながらも、独自のZAZサウンドを展開し、歌を見事に自分のものにしています。このアルバムではありませんが、日本語で一部歌われた『私の欲しいもの JE veux』という楽曲は、まさしく彼女の個性を象徴している曲ではないでしょうか。「私が欲しいのは愛と自由と喜び」とひと昔前の歌謡曲にありそうなメッセージを、ZAZは現代の時代性も感じさせつつ、サラリと歌って見せるのです。Facebook等では時々自分の絵なども公開しており、幅広い才能を感じさせるアーティストであることは間違いないでしょう。