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北朝鮮が作る力道山のギャグ漫画
力道山といえば、戦後のプロレス界の大スーパースターですが、朝鮮半島出身なのだそうです。
その事実を知り、北朝鮮が興味を持って作ったのが、この作品です。
まず、日本の漫画とは何もかも違います。
水墨画風の作画で、日本でこんな絵を描く漫画家を私は知りません。
しかし、もっとすごいのはその内容。
明らかに調べていないだろ、というのがまる分かりの内容です。
元々、力道山は力士出身。
この漫画にはそんな力士時代の彼のことも描かれていますが、そもそもマゲを結っていません。
そしてプロレスラーになってからも、四の字固めが手で『4』を作っているように描かれるなど、トンデモ描写がたくさんあるのです。
しかし一番すごいのは、後半から。
いきなり「偉大なる首領、金日成将軍様が…」と、途端にプロパガンダになっていきます。
そして、力道山の死も描かれますが、誰かが毒を混入した、などという完全なオリジナルストーリーが展開されるのです。
もはや力道山の話のようで、力道山の話ではない。
奇怪千万なストーリーが展開されるのです(しかも、舞台になった赤坂のクラブは、なぜか山奥にある設定になっています)。
実録漫画ではなく、ギャグマ漫画として読むと、すごく面白いのです。
ちなみに、この漫画の最終コマにはこう書かれています。
「誰であろうとも、偉大なる首領様と偉大なる領導者金正日同志のふところに抱かれてはじめて、永遠の命を持つという真理を体得することになるでしょう。」
オチも完璧でした。