腸よ鼻よ

腸よ鼻よ

『腸よ鼻よ』とは、島袋全優による闘病コミックエッセイである。コミック配信サイト「GANMA!」にて2017年6月よりWEB上で連載を開始。2019年に行われた「第五回次にくるマンガ大賞 Web漫画部門」にて3位にランクインした。本作の主人公であり著者でもある島袋全優は、19歳の時に潰瘍性大腸炎を発症する。23歳で大腸を全摘出するまでの壮絶な体験を描く。過酷な闘病生活を題材にしながらも、悲壮感を出さないコメディタッチなストーリーが話題を呼んだ。

腸よ鼻よのレビュー・評価・感想

腸よ鼻よ
7

潰瘍性大腸炎の闘病体験記

潰瘍性大腸炎という病気をご存知でしょうか。私もこの病気と闘っている者ですが、主な症状としては、【発熱】【倦怠感】【粘血便】【腹痛】などがあり、重症化すると1日に30回以上もトイレに行く羽目になり、その度に血便が現れ、最悪の場合大腸全摘出になる可能性(著者は20代前半で大腸全摘出)もある国指定の難病です。
さて、ここまでさらっと書きましたがこの病気に罹患すると生活の質がガクッと落ちます。外出先でも常にトイレを探さないといけないし、いつ重症化して入院するかもわからないため仕事にも影響があります。
非常に憂鬱な病気を主題にした闘病漫画…どんな漫画なんだろう…大丈夫かな…でもランキングは上位みたいだし…と興味本位で書店で本を手に取りました。
さて、一冊読み終えた感想ですが、予想をはるかに裏切られました!闘病をネタにしているにも関わらず、通常のギャグマンガよりもテンポがいいし面白い。また作中では家族とのやり取りに何気ない優しさを感じるシーンや、腸に優しい食材の紹介などもあり、単なるギャグマンガの枠を飛び越えた学びのある一冊になっています。
この漫画を通じて、病と闘う強さのようなものを学ばせていただきました。ギャグマンガから学ばせていただくなんてびっくりですが、続巻も楽しみにしています。

腸よ鼻よ
10

こんなに笑える闘病エッセイがあってよかったのか!笑えて笑えて笑えて学べる闘病ギャグエッセイ!

これはweb漫画配信サイトGANMA!で連載されている、島袋全優先生による闘病ギャグエッセイ漫画です。当初は「闘病なのにギャグ?エッセイはわかるけど……」と読み始めたものの、読んでみれば、ああ!納得!の闘病ギャグエッセイ。これはジャンルとして、ギャグエッセイしかありえませんでした……!
内容は作者である島袋全優先生の実体験によるもの。ご自身が専門学生のときに発病した国の指定難病である「潰瘍性大腸炎」の闘病生活を赤裸々に描いた作品です(連載中)。中には大腸全摘やモルヒネ投与など、かなりシリアスな内容の回もありますが、それすらもコミカルに表現されているのがすごい!
「病気になっても不幸じゃない」という感情が伝わってくるような漫画です。
そしてこれを読んでいると、私たちが普通に暮らしていると「なんとなく」でしか認知していなかったモノが見えてきます。
たとえばオストメイトトイレ。
たとえば人工肛門。
ドラマや映画で「聞いた」ことある程度のそれらについて、一つひとつ細かく、とはいえ押し付けがましくなく教えてくれます!
あとは筋肉ですね。島袋先生がおじさんと筋肉がお好きなため、筋肉にもなんやかんやと詳しくなります(おじさんには詳しくなりませんでした)。
難病、闘病、入院……という単語を並べると、悲しいストーリーかと思ってしまいますが、『腸よ鼻よ』はまったく違います!病気になって、大変なことはあるけど楽しく過ごすこともできるよ、そんなメッセージがあるように感じられます。

腸よ鼻よ
10

これエッセイ漫画なんですよ

難病指定である潰瘍性大腸炎を発症した作者・島袋全優さんが描く(ほぼ)エッセイ漫画です。
ここまでの文章で「辛そう」などとネガティブな感想を思い浮かべるかともいますが、そんなことは特にありません。
ギャグ寄りに描いて読ませようとしているのかと最初は思いましたが、そんなことはありませんでした。
最初は作者の方のブラック企業戦士度が度を超えている…というところから始まり、病名が判明し、初めての担当医がついて…と話が進んでいきます。
ネタバレになりますが、この最初の担当医に言われたり、されたりした数々の行動がほぼノンフィクションという、とんだホラー展開がまず待ち構えています。
そしてそのホラーを乗り越えた先には、読者のヒーロー、人気投票トップの先生も出てきます。
個人的には2巻からの展開が好きです。
病気に触れ合う作者、絶食をする作者、病室で似顔絵をバイトにして銭を稼ぐ作者、一大決心をする作者、自分から取り出したアレの写真撮影を依頼する作者など、様々な作者の姿が描かれています。
キャラの濃い家族の皆様や、担当のビジュアル、数々のパロディ。
それらの群を抜いて、なにより作者が一番濃い漫画です。
話を重ねるうちに「あ、退院したんだ」、「調子戻ったんだ」、と安堵してしまいます。
扉絵の料理は必見!
見どころが多い、スルスル読めてしまう、ギャグエッセイ漫画です。