大空港(映画)

大空港(映画)

『大空港』(だいくうこう、原題:Airport)とは、1970年に公開されたアメリカ合衆国の映画である。アーサー・ヘイリーによる同名のベストセラー小説を原作とし、ジョージ・シートンが監督・脚本を務めた本作は、オールスターキャストによるパニック映画の元祖やエアポートシリーズの第1作目として知られている。特定の場所である空港を舞台に複数の登場人物のドラマが交錯するグランド・ホテル形式を採用しており、第43回アカデミー賞では最多10部門にノミネートされヘレン・ヘイズが助演女優賞を受賞したほか、1970年の世界興行成績で第2位を記録する大ヒットとなった。
物語は、10年に一度という大雪に見舞われたシカゴの架空のリンカーン国際空港を舞台に展開される。着陸した旅客機が誘導路から脱輪してメイン滑走路を閉鎖させてしまう中、空港長のメル・ベイカースフェルドは家庭不和や離婚の危機に直面しながらも、地上勤務員のターニャ・リヴィングストンとの関係に苦悩していた。そこへメルの義理の弟であり犬猿の仲である機長のヴァーノン・デマレストが、ローマ行きのグローバル2便(ザ・ゴールデン・アーゴシー号)への搭乗を控えて現れ、滑走路の閉鎖を巡って口論となる。ヴァーノンは客室乗務員のグエン・メイフェンから妊娠を告げられていた。一方、ベテラン整備士のジョー・パトローニは脱輪した機体の移動作業を急ぐ。その頃、精神を病んだ元解体業者のD.O.ゲレロが多額の旅行保険をかけ、ダイナマイトを仕込んだアタッシュケースを持ってグローバル2便に乗り込む。ゲレロの不審な挙動に気付いた税関職員のハリー・スタンディッシュがターニャに警告する中、無賃搭乗常習犯の老女エイダ・クォンセットも仮病を使って脱走し、偶然ゲレロの隣の席に紛れ込んでいた。
その後、ゲレロの妻イネーズの自宅に旅行代理店からの速達が届き、夫がダイナマイトを持ち出してローマ行きの便に乗ったことを悟った彼女は空港へ駆けつける。連絡を受けたグローバル2便はリンカーン空港へ引き返し始め、ヴァーノンはエイダの協力を得てゲレロからアタッシュケースを奪う作戦を立てるが、土壇場で失敗し後部トイレに立てこもったゲレロによってダイナマイトが爆発させられる。地上では不測の事態に備えてパトローニが滑走路の移動作業を急ぐが、爆発により機体には穴が開き、グエンが負傷する事態へと発展していく。
本作は、当時台頭していたアメリカン・ニューシネマに対するハリウッドの大作エンターテインメント回帰のカウンターとして位置づけられ、バート・ランカスターやディーン・マーティン、ジーン・セバーグ、ジャクリーン・ビセットら豪華キャストが集結した。ロケはミネソタ州のミネアポリス・セントポール国際空港で行われ、劇中のボーイング707は実在の機体を借り受けて塗装を施したものが使用されたが、この機体は映画公開から19年後の1989年にブラジルで墜落事故を起こしている。本作の成功により制作された3本の続編では飛行機の危機に焦点が移りパニック映画ブームを牽引したが、原作のヘイリーは関与しておらず、4作品すべてに共通して登場するのはジョージ・ケネディ演じるジョー・パトローニのみとなっている。

大空港(映画)のレビュー・評価・感想

大空港(映画)
7

国際空港の雪嵐の夜を舞台に繰り広げられる濃密な人間模様を描破する『大空港』

『大空港』は1970年に公開された米国製作のパニック映画で、脚本と監督はジョージ・シートン。主演はバート・ランカスターとディーン・マーチン。作家アレックス・ヘイリーが1968年に発表した同名の小説を原作にした本作は、1970年代に製作されたパニック映画の元祖的な作品となりました。また、いわゆる『エアポート』シリーズの第1作にあたり、製作費が一千万ドルで、1億ドルを超える収益をあげました。この映画は雪嵐の間に空港を閉鎖しないでおこうとする空港管理官の物語です。他方で自殺志願者が飛行中のボーイング707旅客機を爆破しようと試みます。シカゴにある架空のリンカーン国際空港付近を舞台としています。この映画は商業的な成功をおさめ、それまでユナイテッドピクチャーの最大のヒット作だった『スパルタカス』を超える興行収入を達成しました。出演者の中ではヘレン・ハイエスがアカデミー賞助演女優賞を獲得し、また他のアカデミー賞9部門にノミネートされました。空港や航空会社の日々のオペレーションの細部に注意を払いながら、映画では、オペレーションを麻痺させんばかりの雪嵐、空港の騒音被害に対する懸念、旅客機を爆破しようする試みが物語られます。作品内では登場人物たちのパーソナルストーリーが複雑に絡み合わされています。一方で、空港関係者、航空会社関係者、地上整備員、乗務員、連邦航空局の航空管制官の分刻みの決断の連続も描かれています。

大空港(映画)
10

パニック映画の先駆けになった作品。

パニック映画の先駆けになった作品。しかし、この作品はパニック映画ではない。アーサー・ヘイリーのベストセラー小説の映画化。空港を舞台にした人間ドラマ。折から降りしきる大雪に空港は大混雑に。大雪のため飛行機は離発着出来ずにいた。空港職員も乗客も右往左往、外では騒音反対のデモまである始末。空港にはいろいろな人が集まって来る。無賃乗車が常連の老婆、生活に疲れ生きることに絶望した男、キャビン・アテンダントと不倫中のパイロットも。雪が小降りになり、飛行機が次々に飛び立って行く。不倫中の二人の飛行機も飛び立つ。絶望した男と、無賃乗車の老婆も乗せて。飛行機は飛ぶ。雲海を抜けてひたすら前に。地上では雪かきに忙しい。ロビーに疲れ果てた女が一人、今にも倒れそう。それを見た職員が、空港本部に連れていく。話を聞くと夫がケースに爆弾を仕掛けたらしいと。慌てふためく空港本部。一難去ってまた一難。雪は降り続く…。とても見ごたえのある群像ドラマ。豪華なキャスティング。スリルとサスペンスが混然一体。俳優陣の中でも無賃乗車の老女を演じたヘレン・ヘイズは、当時最高齢の助演女優賞を獲得。絶望男とその妻を演じた二人も名演技で見る者の涙を誘う。監督はジョージ・シドニー。音楽はアルフレツド・ニューマン。