ラヂオの時間

ラヂオの時間

『ラヂオの時間』とは三谷幸喜が脚本を手掛けたコメディ映画である。この映画は三谷幸喜の映画監督初作品で、1997年11月に映画公開されている。第21回日本アカデミー賞を受賞した作品で、三谷幸喜は脚本賞を受賞している。ストーリーはラジオ局の収録スタジオに集まったスタッフや出演者たちが、生放送のラジオドラマで二転三転するシナリオに対応していくドタバタコメディである。ラジオ局のディレクターの工藤学役に唐沢寿明、自分で書いたシナリオがラジオドラマ化された主婦の鈴木みや子役を鈴木京香が演じている。

ラヂオの時間のレビュー・評価・感想

ラヂオの時間
8

ほっこり

ものを作る人の発想の話だなと思いました。ドラマとかを作ってて、いろんな事情でいろいろかわってしまうのを経験したからこそ、かけたのだと思います。出てくる登場人物がみんな個性的で面白くて、ああ、この人ならこういうこと言いそう!と思えるセリフが多々出てくるし、四角四面かと思ったら気の利いたことをするアナウンサーとか、セリフを削られる俳優さんにもいいことがあるとか、さすが、三谷作品!、みんなどこか優しくてハッピーエンドだなと思いました。主婦作家さんの心の叫びは、ほんとその通りだと思ったし、でもディレクターのいうことももっともだし、みんな大変だなと思いました。わけのわからない映画とかドラマとか見ると、なんやこりゃと思いますが、案外スタッフもなんやこりゃと思っていて、でも自分の名前を外すこともできないのかもしれません。本作の中での劇中劇の話は、私からするとなんだか荒唐無稽の話ですが、それがささった運転手もいたし、いい話だったと思います。ドラマとかった、生の声がすぐに届かない(今はツイッターがあるからそんなことないと思いますが)ので、ああやって、感動した人を見ると、スタッフも嬉しかったと思います。不愉快な人も出てくるけど、みた後は、ほっこりする映画でした。

ラヂオの時間
9

原点にして頂点

あるラジオドラマの生放送。脚本はシナリオコンテストで選ばれたものでしたが、実はそのコンテストに応募があったのは一作品だけ。あまり気乗りのしない俳優のわがままをきっかけに、スポンサーの都合や音響の不都合などでどんどん脚本が書き換えられていくコメディ作品です。
コンテストで選ばれたシナリオは夫を持つ主婦が素敵な男性に禁断の恋心を抱くロマンティックラブストーリーだったのですが、現場で書き換えられていく中で、ダムが決壊し、浮気相手の男性は宇宙で行方不明になり、ともうめちゃくちゃ。ラジオという媒体を題材にしたことにより想像力が掻き立てられます。
当時演劇界では名が知れていたものの、まだ映画やテレビ業界では駆け出しの作家だった三谷氏。「振り返れば奴がいる」で脚本を担当したのですが、当時、流行りだったトレンディドラマ志向の現場にどんどん脚本が書きかえられてしまいました。そう、これは三谷氏の実体験をもとにした作品です。それもあってか登場人物たちのセリフや行動の一つ一つに魂がこもっており、ラストの感動もひとしおです。
「古畑任三郎」で一躍有名になった、西村雅彦氏もメイン役で出演、普段はキレイどころを演じている鈴木京香さんがコンテストに応募した主婦の役を演じており、それが妙にはまっています。
三谷幸喜作品の原点であり最高傑作です。